閉鎖病棟-それぞれの朝-
去年の11月くらいに公開されて観ようと思ってはいたけれどいつの間にか公開終了になっていた作品。先週何故か再上映されていたのでこの機を逃すわけにはいかないと2日連続の映画館に行ってまいりました。ららぽーとしか信じられない。
山の上に立つ精神科病院を舞台に、そこで暮らす患者たちの姿を描いた作品なのですが、患者の描写がとてもリアルで印象的でした。
「職業柄」そのような方と接することもあったりするのですが、正直本当の患者さんを連れて来たんじゃないかって思ってしまうレベルでした。行動や話し方、独特の目線など雰囲気の再現度は素晴らしいと思います。
そしてとにかく笑福亭鶴瓶、綾野剛、小松菜奈とメイン3人の演技が素晴らしい。それぞれの苦悩に直面する場面や、寄り添って絆を深めていく場面などかなりアップダウンの激しい作品なのですが、メインキャストの演技に裏打ちされた説得力があったと思います。この人たちは存在感強すぎてあんまり患者感なかったけどそれはご愛嬌。
性的暴行の被害に遭って自暴自棄になり病院から消えた由紀が、朝焼けを見て前に進んでいこうと決心した場面は、画作りの綺麗さもあってすごく好きなシーンでした。
病院でもらった優しさももちろん理由としてあるだろうけど、人生が変わる切欠って意外と些細なことだというのは腑に落ちる話だし、それに説得力を与えられる綺麗な朝焼けを撮っていたのも良かった。
気持ちひとつで世界は変わってゆくって瞳美ちゃんも言ってましたからね。
あとは最後に由紀が法廷に立ち秀丸に「生きてほしい」と語り掛けるシーンや、チュウさんが秀丸に退院して外の世界で生きていくことを必死に伝えるシーンも良かった。本当に役者に恵まれてる作品だと思います。
作中(特に由紀に)かなりの辛苦が降りかかって観ていてかなりしんどい部分もあるのですが、それだけではない暖かさに包まれた作品ですし、必死に生きていく登場人物の強さを感じられる映画でした。
