その分現金でくださいよ。

他人の好意を台無しにするブログ

2022年8月振り返り

映画

①『ONE PIECE FILM RED』

www.onepiece-film.jp

原作も最終章に差し掛かるこのタイミングで、あのシャンクスがフィーチャーされるとのことで、生まれて初めてワンピースの劇場版を観ました。原作はめちゃくちゃ読んでるんですけど。歌唱シーンがやたらと長くて"FILM Ado"って揶揄されてたりもしましたが、曲のクオリティ自体は申し分なかったし、ワノ国編でほぼ出てこなかったキャラクターもいたりでお祭り映画としては割と楽しかったです。バルトロメオとか結構好きなのでもっと本編に出してほしいんですよね。

シャンクスについての情報も思ったよりだいぶ小出しで、もう連載から25年くらい経ってるのに語れることって本当にないんだなと思いました。

シャンクスがゴッドバレーでロジャーに拾われた、という割と衝撃の事実が特典の冊子でサラっと明かされたのは驚きましたが。回想でモモの助が生まれたとき、ロジャーが「赤ん坊なんて久しぶりだな」みたいな話をしていたのってこのことだったんですね。

 

②『猫が教えてくれたこと

トルコ・イスタンブールに暮らす野良猫とそれに関わる人々を描いたドキュメンタリー。川越のスカラ座でやるって知ってたから観に行きたかったんですけど、公開期間が1週間しかなかったせいで見逃してしまい、しぶしぶAmazonビデオで視聴。

イスタンブール、初めて訪れたときからずっと好きな街で、たぶんそれは何千年も世界史上重要な場所であったという歴史だったりその象徴である建造物と、人々の日常が共存しているところだと思っている(ぼったくりバーで200ドル取られたこともいい思い出です)んだけど、その"日常"に猫がいるっていうことを教えてくれる。「猫が足元に来て話しかけてくれたら生きる喜びにあふれる」ってのはだいぶ誇張している感じもありますが、まぁ同意してしまう。

映像作品としても猫の目線でカメラが動くカットが多くて、イスタンブールの街並みを新鮮な角度で楽しめた気がする。いわゆる旧市街の観光スポットというよりは路地裏みたいな場所が多かったけど。

 

③『きっと地上には満点の星』

littles-wings.com

ニューヨークの地下空間で生活していた親子を描いたドラマ。ニューヨークの地下に住んでいるのは巨大ワニだと思っていました…。

映画の冒頭シーンは観客をいかに作中世界に引き込むかという意味でいつも注目して観ているのですが、本作は「子供が星を見ているのかと思ったら、見ていたのは地下空間に舞う塵の反射だった」という衝撃的なカットから始まる。環境の劣悪さと、この子は本物の星を見たことがない環境で育ってきたんだということが一瞬で伝わってくる牽引力の強いシーンだった。リトルが地上に出た後、今までおびただしい量の情報を浴びて混乱していることをひとたびも焦点が定まらないようなカメラワークで表現していたのも良かった。何が言いたいかというと『仮面ライダークウガ』のペガサスフォーム初変身回みたいだったということです。それはそうとこの母親がどうしようもなくダメなやつで、ホームレスだし薬物中毒だし当然のごとく売春業に手を出しているし、「子供を奪われたくない」というエゴでどんどん間違った方向に進んでいくし、子供のためとか言いながら結局薬物中毒から抜けられないし、本当に共感できなかった。「あの子には私が必要」とか言うけど実際は娘に依存しているのが見え見えだったし。なんかこういうのを「真実の愛」って言って美談に仕立て上げるなら本当にしょうもないな…とか思ってたんですけど、実際の結末はその逆で、ここまでめちゃくちゃダメな親として描いた分がプラスに働いていましたね。この独り善がりさ、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の主人公っぽいなあと思っていた(彼女にも相当フラストレーションがたまりました)んですけど、実社会でも"本当に助けが必要な人ほど助けを受ける能力がない”というか、セーフティネットに引っかかるにも最低限の社会性が必要というか、そういうことを感じることは多いのである意味リアルな描写なのかなと。

 

④『NOPE/ノープ』

nope-movie.jp

ゲット・アウト』『アス』のジョーダン・ピール監督最新作とくれば嫌でも期待してしまう。この2作はホラー映画の中に人種差別に対する痛烈なメッセージが込められているのですが、それが嫌らしくなく、エンターテインメントとして成立している。特に『ゲット・アウト』から受けた薄気味悪さ、恐怖は相当のもので、ここ5年くらいで観た映画でもトップクラスに好きな作品です。

そういう心構えで本作も観に行ったんですけど、なかなか期待通りのものというか、込められたメッセージが見えてこない。

往年の作品のオマージュ部分と、世界最初の映画の黒人騎手の話から「映画の歴史を黒人の手で再構築する」というくらいで、あとはエンタメ作品として観ればいいのかな、という印象を受けました。序盤が若干退屈だった(あとレイトショーで画面が暗いのは辛い)けど、最後のGジャンとの戦いは先の読めなさもあって面白かった。

撮影所に馬を出すシーンや、ちょくちょく挟まれるチンパンジーの放送事故の話もなんの意味があるのか見てるときはいまいちピンと来ていなかったんですけど、こういう記事を補助線にしてやっとある程度自分の中で落とし込めたような気がする。

初見で明確に言語化できるほどは受け取れなかった部分、たくさんあったなあ。

とはいえ、自分はピール作品だと『ゲット・アウト』の社会に対するメッセージとストーリーが完全に融合した気持ち悪さにハマった口だったので、もうちょっと主張強めの方が好きかもしれない(逆に『アス』はエンタメ性が弱くない…?と感じてハマれなかったので難しいのだが)。実際本国でもそういう賛否両論あるらしいですね。

そういえば上の記事にもあったけど、監督インタビューによるとあの"物体(というか生物?)"はエヴァの「使徒」がモチーフらしい。おたくか?

読書

①『噛み合わない会話と、ある過去について』

悪意のない言動が、言われた本人の中では憎悪にまで育っていき、強烈なしっぺ返しを食らう、といったエピソードの『パッとしない子』『早穂とゆかり』が特に印象的だった。「自分の何気ない言動が、他人を傷つけている」と言ってしまえば陳腐な響きでしかないけれど。言った方は本当に意識もしていないだろうに、言われた側には長い間(長年連絡すら取っていないのに)消えない負の感情が育っている、という描写にゾッとした。絶対自分もどこかでやってるからですが。

それとは別のベクトルで『ナベちゃんのヨメ』も本当にありそうなというか、生々しい話だった。「女の子目線で話せる男友達、に見えてその実(意識・無意識問わず)便利に使われるだけの男の子」って確かにいるんですよね…。その男の子が"本当に求めてるもの"を薄々分かっていながら便利に"消費"してるってのも実例に心当たりがありすぎて…。そしてナベちゃんが出会った自分を"消費"しない女性がちょっと(じゃないかもしれない)頭がおかしい、という事実をまた女子たちは会話のネタにして"消費"し始める…。あまりに残酷なお話だった。語り手の子がそれに自覚的だったのが救いかな。

 

②『盲目的な恋と友情』

前半と後半では当然同じ出来事が起こっているんだけど、蘭花と留利恵は考えていることも違うし、ずっと一緒にいて分かり合ってるように見えるけどすれ違っている。片方にとって重要なことが、もう一方から見ると些細なことで終わってしまうのが、描写の濃淡でそれが表されているのも面白い。蘭花の「恋」も、留利恵の「友情」も、結局全部読んでみるとどちらも「盲目的」な他者への執着という点でほぼ変わりないものではないか、と思った。「盲目的な恋」はよく創作物の題材になるし、類型も多いから割と受け入れられたけど、「盲目的な友情」については殆ど触れられることがないこともあって、蘭花の視点から見たらいつも献身的に支えてくれていた"親友"である留利恵の内に秘められていた感情の方が異質に感じた。「私をこれまでバカにして、私を傷つけてきたすべての人に、蘭花を見せたい」という欲求も、(蘭花が)「悩んでいたせいで、より美しく影を落とした」という歪んだ感性も、盲目的な友情による最後の行動も恐ろしい。

物語を最後まで読み進めて分かる真実を知ると、「恋」のパートの終盤はミスリードありきの不誠実な語りなんじゃないか?と思ってしまうけど、あの場面の蘭花が、一人称の語りなのに自分の行いを認識できないくらい"盲目"だったんじゃないかな、って考えると腑に落ちる部分もあるかな、と。思考を彼女に寄せすぎだろうか。

アニメ

『風都探偵』が面白すぎませんか?


www.youtube.com

いやもちろん原作から読んでいたので『仮面ライダーW』の続編として申し分ないことは分かっていたんですよ。むしろ「ニチアサ」という縛りから解放され、表現的にも実写というハードルが外れて、『仮面ライダーW』という作品が持っていたポテンシャルを最大限に活かせている作品だと思っています(何なら本編より好きかもしれない)。そのアニメ化ということで当然期待を寄せていたのですが、想像以上に素晴らしすぎました。キービジュの時点で分かっていましたが既に取り壊されてしまった探偵事務所のロケ地をアニメだからこそ使えたり、別に必要ないのにニチアサで観たことがあるあそこやあそこをわざわざ背景に取り入れるなど、制作陣の『W』に対する異常な愛情が伝わってくるし、もはや実写版よりバイクに乗りまくっているのも面白い。

そして何よりキャスト陣の演技が素晴らしい。実写版のキャストっていうもはや完全に定着した声のイメージがある上に、アニメで声を当てる細谷さんと内山さんもそれぞれ声の印象が強い方なので、どういう風に演じるんだろう…と一抹の不安があったのですが、(原作のインタビューでも言ってましたが)実写キャストに寄せているわけでもないのに完全に翔太郎とフィリップそのもので感動してしまいました。あと亜樹子ちゃん役の小松未可子さんもかなり雰囲気出てる。ノリのよさとか。

本当にクオリティの高い作品で、毎週楽しみにしています。

1クールとかで終わるの本当にもったいないと思うんですけど、U-NEXT様にいくら払えば最後までアニメ化してくれますかね…。

ゲーム

遊戯王マスターデュエル

フォロワーとフレ戦してから遊戯王熱が再燃して、ちょうどやっていたイベント「デュエリストカップ」にお熱になってしまいました。

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デッキは休止前に作りかけだった【LL鉄獣】を完成させて使用しました。

正直3ヶ月前に作っていたデッキだったのでふわん天威相剣勇者デスフェニ!みたいな環境だと浦島太郎みたいな感じだったのです(そもそもその辺のカードの効果すら知らないのでそこを覚えるところから)が、まぁ1-2妨害くらっても竜皇やらロビンやら結界像やら立つくらいは手数多かったし、後攻でもリサイトの戦闘ダメージ反射やアーゼウスが強かったので頑張ればなんとかなったレベルではありました。

初手のシムルグでのリクルート脳死で結界像にしてたけど、勇者とかふわん全盛期だったので巨神鳥の1妨害に変えても良かったかもしれない。というか両方入れるものなのだろうか…。どっちか1枚だと初手に来てケラスのコストにせざるを得ないときに詰んでしまうんですよね。

そういえばお世話になっていた【未開域】は「竜星の七支」を越える方法がないので完全に死にましたね。あのボウテンコウとかいうドラゴンせめてチューナー縛りくらいしてくれ。

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ということで土日の殆どをデュエルに費やした結果世界1568位でした。すごいのかすごくないのか分からん。勝率は54%くらい。最初はそもそも自分のデッキの回し方もわかってなかったのと全体にわたってミスがひどかったような気もするし、もっと上手にプレイできてれば拾えた試合もあるかも。カップ戦終わってからはまた頻度落としてるけど、新しいデッキでも作ってランク戦潜ってみたいですね。

その他

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022に参加してきました

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アラサーはロックフェスに行くもの、ということで参加してまいりました。

もはや王道、というところしか攻めませんでしたが適宜休まないとやってられなかった(し、夕方以降は結構暑さにやられていた)のでまあこんなもんかなと。

ORANGE RANGEなんて僕が小4くらいの頃、初めて音楽に興味を持つきっかけになったアーティストなんですけど、生で見るのは初めてで軽く感動してしまった。YAMATOいなかったけど。『以心電信』→『ロコローション』の流れでおそらく同世代の方々が最高に盛り上がっていたのは印象的でした。

マカロニえんぴつの『星が泳ぐ』と[Alexandros]の 『無心拍数』は直近で観てるアニメの主題歌で、曲自体もかっこいいと思っていたのでこの辺も生で聴けて良かったです。

緑黄色社会は『Shout Baby』にハマって以降、近年では珍しくアーティスト単位で曲を追っているバンドなのでめちゃくちゃ楽しかったです。アルバム『Actor』で一番好きな『Landscape』をやってくれたのが嬉しかった。

Landscape

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9月には武道館ライブに参戦するので、それもまた楽しみ。

 

Animelo Summer Live 2022に参加してきました

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おたくじゃないんですけどオタクしかいないアニソンの祭典(2日目)に行って参りました。

石原夏織さんを応援する一般人として参加しましたが、直近のアニメの主題歌3曲歌えるのは強いなと思いました。アニメの内容には触れませんが

そして当然と言えば当然ですが、StylipSの顕現には会場がだいぶどよめいてましたね。

自分はソロデビューしてからのファンなのであまりユニット時代の事は詳しくないというか、むしろ令和になって初めてStylipSの曲をちゃんと認識し始めたとかそういうレベルなのですが(令和に中妹は観ていないのでセーフ)、それでも10年前に結成されたユニットのメンバーが、今や個人個人で名を挙げた状態で4人集結するというのはなんか少年漫画的な熱さを感じてしまいました(どうやらこの文脈から溢れてしまった方もいるようですが詳しくないので分かりません)。

それ以外だと、10年くらい前の曲でやたら盛り上がる妙齢のオタクとは裏腹に今観てるアニメの主題歌で好きな曲を歌ってくれたReoNaさんとZAQさんのステージが印象的でした。

シャル・ウィ・ダンス?

シャル・ウィ・ダンス?

  • ReoNa
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes
Dance In The Game

Dance In The Game

  • ZAQ
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

あとアニメは観てないんですけど『ANIMA』もかっこよすぎますね。

作品関係ないところでいうと、大橋彩香さんと梶原岳人さんもかなり印象的でした。大橋さんの歌がすごいことは存じ上げていたんですけど、『HOWL』と『Be My Friend!!!』がめちゃくちゃかっこよかった。急にマーティ・フリードマン出てきて笑っちゃったし。梶原さんも役は知っててもアーティスト活動については恥ずかしながら存じ上げていなかったので、めちゃくちゃ力強い歌声に圧倒されてしまいました。「何か一つでも残せるように精いっぱい歌います」っていう言葉もかっこよかった。

 

もともと応援している方の曲を聴くのはもちろんだけど、こうやって普段の観測範囲外からの衝撃を受けることができるのもこういうフェス系イベントの強みだなあ、とは常々思ってるのですが、そういう意味でもなかなか楽しかった1日でした。