その分現金でくださいよ。

他人の好意を台無しにするブログ

2023年3月振り返り

新年度ですね。(執筆時点)

仕事柄年度初めでも繁忙期というものがなく、職場のメンバーも増えたので割と心地よい4月を過ごしています。まあ、数ヶ月後には僕が辞めるんですけどね

ということで3月の摂取物の振り返りをしていきます。

 

映画

①フェイブルマンズ

fabelmans-film.jp

スティーブン・スピルバーグの幼少期をモデルにした自伝的作品。スピルバーグはみんな好きだろ!ってめっちゃ映画見てる風な人ぶってましたが、よくよく思い返してみるとそんなに観た映画が多いわけでもないという。直近の『レディ・プレイヤー・1』と『ウエスト・サイド・ストーリー』はたまたま観てたけどあんまり監督名は意識してなかったな。作品は内容で選ぶ派なので。

ぶっちゃけスピルバーグの人となりを知らないのでどこまでが実話に基づいた話なのかは分からないんですけど、主人公サミーの父親が(自分もPCオタクなくせに)息子の映画撮影を"役に立たない"ものとして切り捨てようとしている場面は印象的でした。エンタメに関わる人間としては一番嫌な言われ方だろうなあ…

父親の話をしたので母親についても言及しますが、こっちはこっちでサミーがファミリームービーを撮ったことで母親の不貞が明らかになって、家庭が壊れてしまう一連の流れは最近流行り(?)の「撮る」「見る」ことの暴力性を感じるシーンでした。

とはいえ「撮る」ことは悪い事ばかりではなく、プロムの記念ムービーがきっかけでクラスのヤンキー(ジョックスって言った方が適切だと思うけど)と片時の友情を結べたシーンが本作随一の盛り上がりポイントでした。自身にコンプレックスを感じていたローガンが、映画を通して「自分がどう見えていたか」に気付いて自分の知らない自分を見る。ここでは間違いなく"役に立たない"と言われた映画が1人の人間の人生を動かしてるんですよね。熱い。

どこまで事実なのか分からない(2回目)けど、"撮る"ことが何をもたらすか、というのに向き合った経験が今の映画監督としての人生に繋がっているということなんでしょうか。

 

②エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

gaga.ne.jp

こんなアホみたいな映画がアカデミー作品賞を取る時代になったのか。

というかA24の勢いが凄いですね。

受賞自体にはアカデミーは多様性を意識した作品を評価できますよアピールを感じてしまわないこともないですが、まぁ作品自体はフラットに観ていきましょう。余りに情報過多すぎて途中から半分くらい頭を使うのをやめて観ていましたが。

近年のシリーズでは常識の"マルチバース"そのものを題材とした作品で、マルチバースの自分を降ろす(この言い方で合ってるのか?)ときに変な行動をしないといけない、という設定はコメディ的に面白かったですね。この世界のエブリンに白羽の矢が立ったのが「いろいろな可能性を諦めた=あらゆる可能性を受け入れられる」という作りだったのは感心してしまいました。

 

③シン・仮面ライダー

www.shin-kamen-rider.jp

途中から完全に人類補完計画になってましたけど大丈夫なのでしょうか…。

アクの強いオーグたちの印象は強かった*1のですが、1本の映画としての盛り上がりは今までの作品と比してどうしてもパンチが弱かった印象です。テーマ性はちゃんと「仮面ライダー」なのは分かるのですが、全身で作品にのめり込むことができなかったというか、有り体に言ってしまえば絵面が地味というか…。

本作で病的なまでにトレースされている初代ライダーの素養が乏しかったのも痛かったもしれません。

 

 

④The Son/息子

www.theson.jp

認知症患者の感じる世界を映像化した意欲作『ファーザー』が結構好きだったので、同じ監督の本作についても是非観たいと思っていたのですが、いかんせん上映館が少ない。平日の夜に埼玉から新宿まで行ってレイトショーを観ることになりました。

息子の様子がおかしいと思ったら実はうつ病の症状で、息子が懇願するあまり医師の入院勧告を断って家に帰らせた結果自殺されたという救いようのない映画。

正直うつ病で病院に運ばれて、息子が入院したくないって言い出したあたりからオチは見えていた。(映画だからしょうがないんだけど)医者の説明の仕方も若干疑問符が付くものがありました。精神科医の言っていた「今は愛は役に立たない。必要なのは治療」という台詞は本当にその通りで、"可哀想"とか"助けてあげたい"という、正しい知識を伴わない"お気持ち"があまり好ましくない結果につながるという経験は残念ながらあるんですけど、それをどう分かってもらうか…難しい話ですよね。

完全に仕事の話になってしまったけど作品の問題点もここにあると思っていて、映画の中でニコラスに起きていることは父親との心のすれ違い、という類のものではなく普通に病気の症状なんですよね。これを「心の距離」とか予告しちゃうのは詐欺か映画の内容分かってないだけなのでは…と思いました。

精神科のビデオ教材としては世界一豪華なキャストだと思います。憔悴するヒュー・ジャックマンの演技は「逆に父親が死ぬんじゃないか?」っていうくらいの印象がありました。

 

グリッドマンユニバース

ssss-movie.net

最・高。2023年初の複数回鑑賞作品と相成りました。

『SSSS.GRIDMAN』と『SSSS.DYNAZENON』の2作品は好きなところもあるけど正直イマイチなところもあるかな…くらいの立ち位置の作品だった*2のですが、その後日談として欲しい映像がこれでもかというくらいにスクリーンから出力されている、エンタメ性に満ちた作品でした。

その中で一番好きな要素を挙げるとすれば『SSSS. GRIDMAN』の物語から取り残された存在だった、"本物の"響裕太が実は誰よりもヒーローとしての精神性を備えていたというところでしょうか。自分を投げ出して戦うことにあまりにも迷わないその姿、五代雄介かよって思いました。いや五代くんでももうちょっと迷ってたと思う。グリッドマンが憑依したときに裕太の記憶は飛んじゃったけど、仮にそうなっていなくてもグリッドマン同盟として戦ったんだろうなという安心感がある。

そんな裕太の「六花に告白する」という強い気持ちがきっかけで(またもや)世界を救って、平和になった世界で六花に告白する。「青春×ヒーロー」の要素が綺麗な導線を伴ってラストシーンに収束して行ったので観ていて本当に気持ちが良かった。

六花も六花で裕太がグリッドマンに変身するたびに嫌がってたり、夜の公園で告白待ちしたり、めちゃくちゃ露骨にレール敷かれてましたね。蓬が「あの2人まだ付き合ってないらしいよ(笑)」ってマウント取ってたのは笑ってしまった。

ガ…レックスさんと蓬の再会、まさかのお姫さまの登場、アカネの参戦とアンチとの会話、そして最後に裕太の告白…本当に今までこの作品を追ってきた人の「欲しい」が詰まっていました。

劇場で見るグリッドマンやダイナゼノンのアクションもひたすらに楽しかった。アニメでも作画凄かったけどスクリーンで見せつけられる画の迫力と『UNION』→『インパーフェクト』→『uni-verse』の3連続は興奮を抑えられなかったですね。

ちょっと弱いなと思ったのは、昨今のヒーローものの宿命として敵側の描写が薄いのが若干物足りなく感じてしまう点くらいでしょうか。そんなの気にならないくらい楽しい映画体験でしたが。

 

映画しか観ていないのかと言われるとそうでもないんですが、書くことがこれくらいしかないということで。というかもう5月なんですけど。

*1:さすがに長澤まさみさんには謝ったほうがいいと思う

*2:この作品の主題って、なに?と言わんばかりのヒロインの魅力とか、主題歌については文句のつけようがないと思います