その分現金でくださいよ。

他人の好意を台無しにするブログ

アデルの恋の物語



以前『ポゼッション』を観たときにイザベル・アジャーニの狂い散らした演技が印象的だったので、他の作品も観てみたいと思って配信サイトで検索したんですけど(少なくともアマプラとネトフリでは)取り扱いなし。近所のレンタルビデオ屋に行ってみても取り扱いなし。50年以上前のフランス映画なので仕方ないのかもしれませんが…結局AmazonでDVDを購入することにしました。
せっかく買うのであればBlu-rayがよかったのですが、そもそもBlu-rayが存在していませんでした。

ヴィクトル・ユーゴーの娘であるアデルが惚れた英国軍人を追いかけて(英仏海峡にある)ガーンジー島からカナダのハリファックスまで家出をしてしまう、一言でいうと壮大なストーカー物語。
邦題だけ見たら微笑ましい恋愛ものみたいに思えちゃうけどそんな優しい話ではないし、邦題付けた人の悪意すら疑ってしまいます。

想い人のピンソン中尉は既にアデルに興味なし、現地で女作って遊んでる、ついでに借金持ちと割としょうもない男なのですがそれでもアデルの想いは変わることがなく、毎日のように重い手紙を書き続ける。次第に(最初から?)おかしくなっていき新聞に嘘の結婚記事を載せたり、催眠術で中尉に結婚のサインをさせようとしたりとやりたい放題。最終的にお金が尽きてホームレス並に生活レベルが落ちてしまうのですが、その状態で中尉の次の赴任先であるバルバドスまでストーカー。怖すぎる。北九州とか行ってそう。

イザベル・アジャーニが演じるアデルは狂ったように中尉に縋ったり悪夢にうなされたり終盤は服もボロボロで廃人同然だったりするのですが、そんな状態でもある種の気品を感じるのが本当に素晴らしい。
『ポゼッション』の時同様、画面にいるだけで惹きつけられてしまう。そしてめちゃくちゃ美人。特に中尉と別の女の密会現場を物陰からのぞき見するシーンは凍り付くような色気を感じました。
これで当時19歳というから本当に天才なんだろうなとしか思えない。

正直な話、可愛い人が可愛い演技をできるのはある意味当たり前だと思うのですが、彼女のように恐怖や悲痛さ、狂気といったマイナス面の感情をしっかり表現できる役者さんって本当に魅力的だと思います。

演技の狂いっぷり自体は『ポゼッション』の方が振り切れてて見ごたえがあったかなというのが正直なところ。あくまで史実に基づいた恋愛映画とホラー要素も存分に入った映画で比べることじゃないかもしれませんが…。

映画自体がめちゃくちゃ好みかというと微妙なところですが、イザベル・アジャーニは本当に魅力的な女優だなと再確認したし、他に何作か気になってるものもあるので観ていこうかと思います。

どれもこれも配信してないし、またAmazonでDVDを買わないと…。