その分現金でくださいよ。

他人の好意を台無しにするブログ

チベット旅行準備編①中国ビザの取得

2023年の8月から9月にかけて、中国・チベット自治区を旅行した。

ampleparkingdayornight.hatenablog.com

この記事でも書いたが、2023年現在、中国に渡航する場合は短期旅行であってもビザを取得する必要がある。以前は日本人の15日以内の中国滞在はビザ免除措置が存在したのだが、COVID-19の流行を契機にその免除措置が停止されてしまっている。

 

今回は自分の経験を基に、中国渡航に際する観光ビザの取得について記していく。

日本には中国のビザ申請センターが東京、大阪、名古屋の3ヶ所あるが、本稿は自分が申請を行った東京における申請についての記録となる。またあくまで申請~受取時点(2023年5月~8月)における経験なので、再診の情報については各自改めて確認することを勧める。

 

中国のビザを取得するためには、以下の手順を辿る必要がある。

 

①中国ビザ申請サービスセンターのホームページで申請表を作成する

www.visaforchina.cn

上のWebページにアクセスし、「高速リンク」→左側の「オンラインによる申請表入力」のところにある「申請表入力」で申請表をオンライン上で作成することができる。「高速リンク」で何となく察した方もいるかもしれないがこのホームページは日本語訳が少し怪しいため読みづらい箇所がちょこちょこ存在する。中国語が読めるのでもなければ、言語を英語に変えた方がマシという箇所もあった。

申請表の入力項目は全10ページ。この時点で若干日本語が怪しい

この申請書はとにかく記載しなければならない情報が多く、渡航目的や訪問地は当然のこと、自分の職場、出身大学や両親の居住地などの個人情報も事細かに記入しなければならない。

旅経験が少なすぎて今までビザ申請はイランのアライバルビザしか経験がないのだが、ビザって元来こういうものなのだろうか。

申請表入力で一番イライラしたのは間違いなく「第1部分」の自身の写真をアップロードする箇所だ。顔が隠れていないか、向きやサイズは適切かなどを自動で判定され、不適切とされた場合はアップロードできないのだが、この判定があまり賢くないようで提出した写真は理不尽にハネられまくり、承認される写真を準備できるまでに30分以上を要した。(写真のアップロードができないと次以降の画面に進めないので、先に他の箇所を記入して…が不可能なのもフラストレーションを加速させる)

顔写真の要件はこのページで確認することができる。苦戦した点として、

・背景は白という指定があるためその辺の白壁を背景にして写真を撮ったが、白じゃないと判定されアップロードできなかった。光の加減などを変えて何回か撮り直しても全部ハネられたので、やむなく写真編集ツールで写真の白レベルをいじったらめでたく審査を通過した。それでいいのか…。

・前髪は眉毛にかかっていなくても自動判定にひっかかってしまいアップロードできなかった。途方に暮れた僕は(30代独身男性の部屋にヘアピンなんてものは存在しないので)ワックスで前髪だけ横に撫でつけておでこを丸出しにするという今までやったことのない珍妙なヘアスタイルを完成させることでようやくビザ申請センター様からお許しを得ることができた。

上記2点が挙げられる。それ以外は免許証やパスポート用写真とほぼ同じノリで大丈夫…だと思う。

 

②申請表を提出し、ビザ申請の予約を取得する

予約はホームページ内の予約フォームから行える。特に難しいことはないが、とにかく予約が取れない。自分は8月末の出発に備え、5月末からビザ申請の準備をしていたが、その時点で6月26日の予約しか取れなかった。当然ながら土日祝は休み。自分には関係なかったが、中国の祝日でも休みになることがあるらしい。

実は6月26日は書類に不備があり申請ができなかったのだが、その際申請表の作成と予約取得は最初からやり直しである(申請表は一度作成したものをベースにすることができる)。結果としてビザ申請ができたのは8月1日だった。1ヶ月程度は予約が取れないものと思って早めに準備するのが良いと思う。ただ、出発の3ヶ月以上前にビザが発行されてしまうとそもそも出発前にビザの有効期限が切れてしまうので注意。

予約が完了すると、予約表をPDFでダウンロードできる。予約当日は予約表を印刷して、必要書類と一緒に持参すればよい。

※今(2023年10月)東京のビザ申請センターの予約状況を確認したが2週間弱で予約ができるようになっている。何かあったのだろうか…。

 

③ビザ申請センターへ行き、ビザ発行の申請を行う

東京のビザ申請センターはりんかい線国際展示場前駅近くにある。

申請センターではまず受付で必要書類がそろっているかを確認される。提出書類に問題がなければ受付番号を発行され、その番号が呼ばれると申請ができる。

(予約制ではあるもののやたらと混雑しており、自分は1時間くらい待たされた。何かしら時間をつぶすものを持って行った方がいい)

必要書類はビザ申請センターのホームページに記載されている。

注意事項として、証明写真も背景が白のものが要求されるので背景が青の写真は使用できない(証明写真機に背景色を変える機能はあるらしいが)。

ビザセンターに入ってすぐ左に証明写真機があるので素直にそれを使うのが良いと思う。他にもプリンター、コピー機、パソコンが置いてあり、書類の印刷などを行うことができる(セキュリティ大丈夫なんかってなるし、コピーとプリントは有料だが)。

あと「日程に関する書類」はかなり厳しくて、宿泊予定の全てのホテルの予約証明書が必要だった。最初に行ったときは旅行会社から送られてきた旅程表を(それしかもらわなかったので)提出したが認められなかった。上述の通り書類不備で申請ができなかった場合は予約からやり直しなのでビザ発行まではさらに1ヶ月以上かかってしまう。

提出書類や申請表の内容が再確認され、特に問題なければ(顔写真と両手の指紋を提出した上で)スムーズに終わる。自分は「チベット自治区に行くためには中国入国ビザと別にパーミットの取得が必要なことを承知しています」と「最終日(帰路移動日)は空港に宿泊することを約束します」と2種類の署名をした上で申請が通った。前者はともかく、後者は帰国ルートを18時前に西安空港に到着し、翌日朝に西安→成田便に乗る予定としていたのだが、乗り継ぎ間の宿泊施設を予約していなかったのが問題視されたようだ(当たり前)。対応してくれたスタッフさんが判断を仰ぐため10分ほど席を外していたのだが、また何か不備があって申請が下りないんじゃないかと不安になった。

 

④再度ビザ申請センターに行き、ビザを受け取る

申請が受理されれば、4営業日後以降にビザを受け取ることができる。受け取りの際は予約不要。

ちなみにビザはパスポートに貼り付けられるので、③から受取日までの間はパスポートを預ける形になる。

料金は合計で8500円。クレジットカードも使用できた。便利。

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というわけでようやく取得できた中国ビザ。

間に合わないんじゃないかと本気で焦ったけど、結果的になんとかなって一安心。

 

以上が中国ビザ取得までの流れだ。

前述の通り他国のビザを取得した経験がないので、どこの国でもこんなものなのか、中国がとりわけ大変なのかは分からないが、結構な手間なのは間違いない。

jp.reuters.com

こういうニュースもあるにはあるが、中国旅行のためにビザ取得が必要な状態は今のところ続きそうである(どうでもいいけどこの記事中身薄すぎないか)。

ビザ免除が再開され、こんな駄文記事を読む必要に駆られる人がいなくなることを切に願う。

 

おわり。

そうだ チベット、行こう。②移動日編

初日。移動日。
ルートは羽田→北京大興空港→国内線乗り継ぎで西寧。そもそも羽田が遠すぎるので早起きを強いられ、せっかくマスターランクに上がったのに睡眠スコア50も取れなかった。(ポケモンスリープの話です)
西寧という街についてはこの旅行計画を立てるまで場所はおろか読み方すらよく分かっていなかったが、チベットへの陸路移動の拠点になっていたり、近年は青海省内にも有名観光地が増えておりその拠点だったりしているらしい。
今回の旅の目的地であるラサにも空港はあるが、標高3000m越えの土地に直接移動することによる高山病のリスクを限りなく下げたかったのもあるし、何と言っても青蔵鉄道に人生で一度は乗ってみたいという気持ちが強かったので西寧からのスタートとした。
帰りに関しては上記の懸念がないため、ラサから空路で西安を経由して日本に戻ろうと考えている。このルートが1番安かったので。

北京までは3時間。最近はもうiPadに適当なアニメなりドラマなりをDLしておけば暇潰しに困ることはない。時間が合わずニチアサを観れないまま旅立ってしまったのが心残り。
飛行機は割と空いており快適だった。周りを見渡しても乗客は殆ど中国人だったように思う。入国審査時の外国人ゲートも日本人以外の方や、ビジネスマンらしき日本人が殆どでバックパッカー丸出しみたいなのは僕だけだった。やはりビザを取るのが死ぬほど手間であるのもあってこの時期に中国旅行をする人は中々いないのだろうか。
入国管理官に「目的地は?え?ラサ?1人で?」って半ば変な人扱いされながら初めての中国入国。特に青蔵鉄道開通後のチベットは中国人の中ではメジャーな観光地なのだろうと勝手に思っていたのだが、そうでもないのかもしれない。
そして海外に入国したら最初にやらなければならないこと、それは間違いなくネット環境の確保である。他の国であればとりあえずは空港に入った瞬間に適当なフリーWiFiを拾ってしまえば済むのだが、こと中国となると話は別。12年前にトランジットで浦東国際空港を使用したときと同じく、中国での電話番号(かWeChatのアカウント)がないとフリーWiFiすら使わせてもらえない。(実際はもう1個ログインの方法があったみたいだがよく分からなかった。)
ご存知の通り中国はインターネットに規制をかけていて、TwitterInstagramといったSNSに加えてGoogleのサービスなどを利用することができない。SNSできないだけだったらネット依存症の自分には辛いもののデジタルデトックスとでも思えばよいのだが、LINEやGmailまでブロックされると本当に他者との連絡手段がないので完全な音信不通になってしまう。さすがにそんな状態で2週間中国の奥地に行くとなると家族には普通に心配されるだろうし、緊急時に外部と連絡が取れないのも困る。ネット発達する前の旅人ってどんな感じだったんだろう…と思いを馳せずにはいられない。
対策として、規制を回避できると謳われているSIMカードを事前にAmazonで購入しておいた。

これで日本と連絡はできるはず。こんなことインターネットに垂れ流して大丈夫か心配になって調べたが、ブロックを回避してTwitterなどにアクセスすること自体は違法ではないらしい。よく考えたらLiyuuも来日前からTwitterに投稿してたしな(してたよね?)。
なのだが、SIMスロットを開けるためのピンを持ってるのを忘れていたことに飛行機に乗った後で気付き、ちょっと慌てた。そもそも今までの旅行では現地の空港でプリペイドSIMを購入し、店員がそのままアクティベートしてくれていたから、そもそもSIMピンなんてものは必要なかったのである。僕のChromeには「SIM ピン ない」とかいう間抜けな検索履歴が残っている。安全ピンとかシャーペンの先使えって出てきた。
安全ピンもシャーペンも持ってるわけないので空港についてすぐ携帯ショップを探し、「SIMカードは持ってるからピンだけ貸してほしい」と懇願した。完全に恥晒しである。正直金取られても文句言えないなと思ったけど快く貸してもらえた。こうしてやっと中国でのインターネット手段を得た。ちゃんとTwitterGmailも使えてひと安心。ポケモンスリープにもアクセスできたので感謝のサンパワーカレーで大成功を決めた。


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余談だがこの空港は他国に比べて露骨にSIMカードの販売所を見かけないように思った。上述の携帯ショップも、プリペイドSIMを売っているような感じではなかったし、インターネット規制の件も含めて日本で買っておくのが安全かもしれない。
スタバやマックやケンタッキーもあったが遠かったので、よくわからないコーヒー屋でサンドイッチとアイスコーヒーを注文したが、店員さんが誰も簡単な英語すら通じなくて(もしくは僕の英語が下手すぎた)全くコミニュケーションが取れなかった。航空会社のグランドスタッフもそうだったし、そんなもんなのかもしれない。

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↑よくわからないコーヒー屋。500円くらいでアイスコーヒーとサンドイッチが買えたのでコスパは良いと思う

ひとまず日本でダウンロード、登録しておいたアリペイがちゃんと使えたのでひと安心。

中国では極端なまでにキャッシュレス化が進んでおり、そもそも現金が使えない店まであると聞いていたからびくびくしていた。タイミングのよいことに、2023年7月からVisa, Mastercardをアリペイと(WeChatPay)に紐付けられるようになったとのことなので、是非日本でやっておくとよいだろう。

多分大丈夫だと思うのだが、ちょっと怖くてメインカードではないカードを登録した。

後はもう流しだが初めてプライオリティ・パスを利用してラウンジを使用した。ちょっと調べれば出てくるが楽天プレミアムカードを作って手に入れるのが手っ取り早い。年会費はかかるがプライオリティ・パスの価格とトントンなのと、楽天カードマンになって適当に楽天経済圏の奴隷になっていれば何かしらのインビテーションが来てそれなりにお得になると思う。今まで使ってなかったのはプライオリティ・パスには2年間という利用期限があるため、年に1回しか海外旅行行かないようなタイミングで作っても無駄になるだろうと踏んだからである。要するに世界一周のタイミングまで作るのを待っていたということ。
軽食や飲み物をただで貰えるのはありがたいことなのだが、ぶっちゃけラウンジ外の方が椅子やベンチの空きが多くてなんやねんって思った。
北京から西寧までは2時間半くらい。ガイドさんが迎えに来てくれてそのままホテルへ。
車の中で少しガイドさんと話したが、COVID-19の流行が始まってから、中国在住の日本人をガイドしたことはあるが、日本から単純に旅しにきたのは僕が3年ぶりくらいとのこと。でしょうね。
中国に来たのは初めてですと伝えたら、普通最初は上海や北京に行くものですけどいきなりチベットに行こうとするのは珍しいと言われた。でしょうね。
車で30分程度でホテルへ。いつも旅では移動手段と宿泊施設の優先順位が最底辺なのでできるだけ安くしてください、といった割には高級めのホテルで面食らった。他に選択肢なかったのだろうか。


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検索したら思ったよりだいぶ安かった。マジか。
まぁ取っちゃったものは仕方ないのでありがたく使わせてもらおう。

疲れたので即爆睡した。ポケモンスリープが捗る。

次回に続く。

そうだ チベット、行こう。①立志編

前の記事にも書いた通り、世界一周をするためにいったん仕事を辞めた。

 


世界一周をしようと心に決めた1番の理由は、高校生の頃初めて海外の風景に心惹かれてから、行きたいと思う場所が多くなりすぎて、年に1〜2回の休みで海外旅行に出かけるという社会人生活に最大限迎合したスタイルでは一生かけても行きたい場所の半分も行けないだろうということに気づいたからである。

正直日本以外で生活するのは割と億劫なので日本に住みながら行きたい場所を全部廻れるならそれに越したことはないのだが、心に決めてしまったのだから仕方ない。
そういうわけで、世界一周の準備をするという名目で少し早めに退職することにした(出発は12月予定)のだが、退職後の予定を考えていた折に、「世界一周中に行くのが逆に難しい場所」の存在に思い当たった。具体的なケースを挙げると、ビザ免除最強国家の一角である日本のパスポート所持者に対してもビザを要求する(そしてアライバルビザ不可)国のことである。トルクメニスタンとか。

旅程そのものがが未定な時点で、国内でビザを取得することはできない。しかし、世界一周の先達のブログを色々と読んでいると、どうやらその手前の国の大使館でビザを申請することでこの問題はクリアできそうである。それはそれでめんどくさいが。
その次に頭をよぎったのは、チベット仏教の聖地、ラサのポタラ宮である。
ラサが属するチベット自治区に入域するためには、パーミットと呼ばれる許可証が必要である。このパーミットは基本的に現地の旅行会社を通してのみ発行され、個人で申し込むことはできない。世界一周中に中国の旅行会社とコンタクトを取りつつ、(おそらく日本以外の国スタートで)ツアーに参加するのは中々に骨が折れると思ったので、退職後の期間を利用してチベットを訪れるのはかなり良い選択のように思えた。ちなみに夏〜秋は同地域の観光シーズンでもあるらしい。

ちなみにパーミットの申込時にはチベット自治区内の何処を訪問するかも併せて申請しなければならないため、実質ツアー旅行確定である。今まで自分がやってきたような、とりあえず航空券だけ取って、何処に行くか、何処に泊まるかもその場で決めるような自由旅行は不可能なのである。

その上ガイドの同行も義務付けられている。ガイド付きの旅行なんて修学旅行以来である。
正直思った以上の自由度の低さにびっくりした(特にその土地に対してそこまで知識がない状態で旅程を確定させ、それ以外の場所は基本訪問できないというのはかなり心苦しいものがあった)が、それを差し引いたとしても今まで映像や写真など見たチベットの風景はある程度苦労をしてでも訪れるに値する唯一性があると思っているし、この地でしか見ることができない景色があることは期待しても良いだろう。そう考えて今回の旅行を決意した。

早速チベット旅行について情報を集め始めたのだが、びっくりするほどちゃんとした情報がない。

雑にGoogle検索をかければ(こういうのが好きな人には)おなじみの旅行会社のページが並び、ツアーの日程などが提示されているのだが、ほぼすべて2019年以前のもの数年前の募集がそのまま残っているところもあったし、サイトが更新されているのかすら怪しい。

個人ブログなど含めても、コロナ禍以降チベット旅行に行った日本人が居るのかどうか怪しいレベルだ。


今回のブログが変に説明口調な理由はここにある。
いつもは正直思考の整理と顔が見える範囲の人間への内輪ネタでしかブログを書いていないが、今回の旅行に関しての記事は「チベット旅行に行きたいと考えている、もしくは興味はあるが、何も情報がなくて困っている」というような人にささやかながら情報提供ができれば、という目的も含まれている。
海外旅行なんて万人にお勧めできる趣味とは口が裂けても言えないし、「行きたい」とだけ漠然と思いつつ具体的方策も調べないような人はどうせ行かないので別にいいのだが、本当に興味や行きたいという気持ちがある人が、調べても情報が得られないから、という理由で諦めてしまうのは本当に勿体ないことだと思うので。
n=1でしかない自分個人の経験を再現性のある全体像のように語るのは正直苦手だが、この旅に関してはできる限り具体的に、具体的な金銭的負担の部分まで含めて書こうと考えている。

正直この記事1つで有意差が出るとも思えないが、どこかの誰かの「旅に出たい」という気持ちの背中を押すことができていたら僕が浮かばれる。
いつも僕の駄文を読んでくれている皆さんに対しても、いつも通り暇つぶしとクソ絡みのネタになれるよう頑張って書いていく所存である。

 

そして実際のところ、日本人が現在個人旅行でチベットに行くのはハードルが高くなっていると言わざるを得ない、というのが自分の意見だ。
断っておくが、このハードルは金銭面と手間によるものであり、そこに糸目をかけないのであれば問題なく渡航は出来る。別にテロ組織が現在進行系で仏像や遺跡を爆破しているわけでもなく、麻薬カルテルの抗争真っ最中ということもないのだし。


その理由は以下の2つ。1人で行くならもう1個プラスされる。

 

①日本人に対する15日間の中国ビザ免除措置が停止されている
チベットどうこうではなくそもそも現在は中国旅行自体のハードルが上がっている。上海のディズニーランドに行くのも大変だと思う。
現在、中国に渡航する場合は短期旅行であってもビザを取得する必要がある。以前は日本人の15日以内の中国滞在はビザ免除だったのだが、COVID-19の流行を契機にその免除措置が停止されてしまっている。

この記事にもあるように免除措置が復活した国もあるのだが、日本は据え置きのままである。旅行者は勿論ビジネスの往来にもいちいちビザが必要なのでその界隈からは免除再開の要請がなされているが、どうやら外交カードとして使われてしまっているようなのですぐに元通り、とはならないのではないだろうか。
そしてこのビザを取るのに死ぬほど手間がかかるのだ。詳細は別の記事で。

 

チベット旅行を取扱う旅行会社が営業を停止している可能性がある、もしくは費用が割高
COVID-19の世界的流行で全世界的に観光業が打撃を受けた影響だと思う。
今回の旅行にあたって適当にGoogleで検索して、チベット旅行を取り扱う旅行会社10社程度に片っ端からコンタクトを取ったが、「コロナ禍以降チベット旅行は催行していない」「現地の旅行会社と連絡を取ってみるが、コロナ禍前と比して価格はかなり上がってしまう」との返事がちらほらあった。

そもそも返事があれば良い方で、Google検索で上位にヒットする会社でも全く返信がなく、現在活動しているのかどうかすら不明なところもあった。上述したが、現在チベット自治区に旅行するためには現地の旅行会社を通すことが必須である。その旅行会社自体がそもそも営業実態が不明であったり、ツアー料金が割高であれば当然旅のハードルは上がる。
こちらに関しても別記事を書こうと思っている。

 

③個人で行くと更に費用が跳ね上がる
これは1人で行く人の場合。
チベット自治区の旅行には、ガイドを付随させることも決められている。またその地理的特性上、公共交通機関の使用は難しく基本的に車をチャーターすることになる。ガイド代や車のチャーター費は複数人で旅行すればその分割安になるが、個人だとそうもいかないため必然的に費用は跳ね上がる。旅行会社のサイトを眺めている限りは、4人以上で行けば1人の場合と比べておおむね半分くらいの金額になりそうだが、チベットに行きたいというモチベーションがあり、なおかつその為に2週間近くの休暇を合わせられる奇特な友人を複数人探すのと、黙って淡々と金を払うのとどちらが簡単なのかは読者の判断にお任せする。

 

自分語りをしすぎて記事が長くなりすぎてしまったので、①②については別記事で言及することとする。そもそもこの記事を書いているのは西寧行きの飛行機の中でありチベット自治区にすら入れていない。
現地の旅行記も適宜更新していくので、気長に待っててもらえると助かる。

退・職

8月24日、4年半ほど勤めていた大学病院を退職しました。

アルバイトは続けているので、医師免許持ちのフリーター爆誕です。

 

別に心配されてる気もしませんが一応断っておくと、体調やメンタルを崩したとか仕事に嫌気が差したとかいわゆるドロップアウト医になるとか実家に帰るとかそういう理由ではないです。

心身ともに健康でやらせていただいております。

直接お伝えした方もいますし、なんならこのブログのどこかにも以前書いたのですが、退職の理由は世界一周旅行に出発するためです。

厳密には一周する気もないのですが言葉の通りがいいのでこう書かせてください。

普通こんな理由で大学病院を辞めるとなると医局とは絶縁案件となっても不思議ではないのですが、退職の旨を伝えたら「今一番やりたいことなんだよね?」と仮面ライダーオーズの最終回みたいなノリで快く送り出してくれた上司には頭が上がりません。

なんやかんや言ってますが職場には恵まれたなと思っています。

 

元々自分の中で世界一周旅行をしないままで死ねない、という気持ちがずっとあって、特に初期研修が終わってからの4年半は、長期の海外放浪に出ることを前提に人生プランを組んでおりました。そうは見えないかもしれないけど。いろいろな面で機が熟したのが今年かな、というところです。

自分が本当にやりたいこととはいえ、日々の生活の中でなんやかんや惰性の波に呑まれて自分で企画倒れにしてしまうんじゃないか…という不安も少なからずあったので、30歳という節目の年で旅のスタートラインに立つことができ安堵している部分もあります。

このあたりの経緯もいずれどこかで自分語りするような気がします。

 

出発は12月を予定しているのですが、身辺整理だったり準備の期間が必要だろうということでこの時期の退職とさせていただきました。

緑黄色社会のアリーナツアー横浜公演のチケットを取ったので、少なくともそれよりは後の出発になると思います。

期間も未定です。「2年間の休暇」にすると好きな小説のタイトルっぽくてかっこいいな~、とかしょうもないことは考えていますが、とりあえず飽きたら帰ってきます。

 

ひとまず9月はゆっくり休んで、10月以降はバイトで貯蓄ブーストをかけつつ旅の準備をしていきたいと考えています。

…と思ったのですが7年ぶりの長期休暇にはしゃいでしまい、先走り海外旅行や友人との温泉旅行、富士急、登山、声優イベントなどなど詰め込んでしまいました。

今週末から中国・ラサに行きポタラ宮と対面してくる予定です。

Amazonで買った旅行用SIMで金盾を回避できなかったら完全な音信不通になる可能性がありますが、その時もたぶん生きているので心配しないでください。

 

おしまい。

10月~12月は割と時間に余裕があると思うので遊んでくれる人がいたら声かけてくれると嬉しいです。

 

 

2023年6月振り返り

夏。暑すぎる。

 

映画

①ソフト/クワイエット

soft-quiet.com

いわゆるヘイトクライムを題材にした作品なのだが、まず目を引くのが全編ワンショットという形で作品が構成されていること。

流石に90分通しで撮影してるわけじゃないと思うけど、どうやって作っているんだろう…。

物珍しさだけでこの撮影手法を使っているわけではなくて、登場人物が日常で抱える様々な問題がシームレスに残虐な暴力行為に繋がっていることを浮き彫りにする役割を果たしていたと思う。やりたいことと手段が一貫している作品は見ていて気持ちがいい。

カメラの動きで特に印象的だったのは、作中で文章にするのもはばかられるような暴力行為がなされるシーン。それは流石にカメラに写らないんだけど、その大人の事情とあまりに凄惨な現状から目を背けたい登場人物の心情がリンクしていて感心した。

ストーリーについては、暴力の加速装置みたいなキャラクターが1人いて、物語の牽引力がそいつ1人にしか存在しないような状態(他の人たちは途中でやめたがっていた)だったのが気になる。

「普通の」人間の中にあるコンプレックスと差別感情が混ざってエスカレートした結果惨劇を引き起こす話がしたいんだろうに、明らかに異常な暴力性を持っている人間がいるのはどうなんだ…?とは思ったけど、作品全体を壊すほどではないから許容範囲ではあるか。

こういう作品はすぐパンフレットを買ってしまうんだけど、監督インタビューでの「人種差別や白人至上主義に関して容赦するよう促す映画や物語が支持されているのは、非常に残念なことです。」という一文が重かった。本作がそのような物語に対する強烈なカウンターであることは十二分に伝わってくるので…。

 

②怪物

gaga.ne.jp

公開の何カ月も前から映画館やYoutubeでずっと「怪物だーれだ。」という予告フレーズを聞き続け期待値を高めていたわけなのだが、結局怪物って何だったのだろう。

それぞれの登場人物が違う視点で同じ事象を見て、相手の視点を想像もしない。様々な方向から向けられる視点の、重なり合わない間隙にこそ怪物が生まれるのではないか。そう思わせる作品だった。

最終的に「流石にこいつとこいつは悪くね?」と思わせるような登場人物は存在するのだが、本作で起こった事件(?)の原因は誰かのせいにできるような類のものではなく、他者の視点を持てないことにあると思う。そのメッセージを、複数の登場人物の視点から描くことで逆説的に浮かび上がらせる構成が上手いなと思った。単純に作品にミステリ要素が混じって目が離せなくなったというのもある。

当然ながら演技も見事。方々で絶賛されている、湊と依里を演じた2人の子役ももちろんそうだし、メインキャストの全員がスクリーンから放つ引力が凄くて目が離せない。本当にみんな素晴らしかったんだけど、特に印象的だったのは(たぶん)ADHDの教師を演じた永山瑛太かなあ。近い立場で見た場合は純朴と表現すべき部分が、外から見たときには愚鈍にしか映らないギャップが素晴らしかった。あと校長先生役の田中裕子が怖すぎる。あの生気を感じられない表情は掛け値なしに怪物と呼んで差し支えないのでは…。

終盤の展開は『銀河鉄道の夜』っぽいなあと思ったけれど、そもそも『銀河鉄道の夜』の細かいストーリーを忘れていたので、本屋に行って文庫本を買って帰ったくらいにはこの作品に寄り添いたいと思える映画だった。天気を気にするようになるアニメはいいアニメみたいなもの。

欲を言えば、この作品がカンヌで何の賞を取ったか知らないままに観たかった。

賞を取ったこと自体がネタバレになるって、そんなことある???

 

アラビアのロレンス

eiga.com

前に観たのはヨルダン旅行に行こうと思い立った時だから、4年ぶりくらい?

かなり心酔してしまった作品なのでスクリーンで見られる機会は逃したくなかった。

そもそも美しく厳しい砂の原風景はずっと飽きずに観ていられる。加えて純粋にアラブに惹かれていただけのロレンスが暴力や死を目の当たりにしながら戦っていく中で苦悩し、壊れていく過程や、最終的には祖国であるイギリスからも、アラブからも必要とされなくなる激動と表現するのも生温いようなロレンスの生涯を追体験していると、人間1人の人生なんて本当に簡単に、自身にはコントロールできない力が働いてどうとでも変わってしまうのだという無常さを感じずにはいられない。

完全版では4時間弱というとんでもないボリュームの作品だけど、それだけの価値がある映像を見せてくれる作品だと思うし、やっぱり大好きな映画。たぶん折に触れてまた観るんだと思う。できれば映画館で。

 

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY

www.lovelive-anime.jp

ラブライブよく分かりません、で通していたのになぜかニジガクだけ2期まで全部観て映画館にまで足を運んでしまっている…。曲がいいんですよね、曲が。

30分しかないOVAで13人もキャラがいるのにどんな話を展開するんだ?と少々不安に思っていたけれど、栞子と新キャラの子を重ねてみんながいれば自分の限界を越えられるって話にしたのは手堅くきたなという感じ。まさかの劇場版3部作も決定しているとのことだし、たぶん観ると思う。

それはそうと、新キャラのアイラが完全に東山奈央さん雇用枠みたいなキャラクターで声聞いた瞬間笑いそうになってしまった。

 

漫画

僕のヒーローアカデミア 38巻

今更ヒロアカについて書くのもどうなのよ、と思わなくもないけどこの38巻を読んでスタバでガチ泣きする30代になってしまったのも事実なので、さすがに特記しておく。

本作ではメインキャラのほぼ全員が何かしらの間違いを犯していて、それでも(主にはデクとの関わりを経て)前を向いて進もうとしている。そしてやらかしの筆頭たるエンデヴァーの台詞に代表されるように、今の彼らをちゃんと「見て」いる人がいるという構図が胸を熱くする。ジェントル・クリミナルが、レディ・ナガンが、変わるきっかけをくれたデクに報いようと必死で戦おうとするし、彼らの「今」を「見て」決断を後押ししてくれるキャラクターもいる。イナサは「今」のエンデヴァーを信じて戦うし、かつてヒーロー失格の烙印を押して命を奪おうとした飯田くんの成長をステインがちゃんと見ているというのも最高に熱くなるシーンだった。

エスカレートにエスカレートを重ねる最終決戦のテンションも相まって各キャラクターのドラマも最高潮を迎えていくこの38巻、涙を流さずにはいられないでしょう(自己弁護)。というか本当にヒロアカ終わってしまうんだな…。個人的には敵キャラクターも助ける、という話の方向になった手前、怒りや破壊衝動ではなく純粋に好意・嗜好で敵を傷つけるトガちゃんに対してお茶子がどんな答えを出してあげられるかに注目しているのだけど、どうなることやら。

 

②R15+じゃダメですか?

年間200本映画を観る女性声優のラジオを聴いていたら作者がゲスト出演していて、最初の15話が無料で試し読みできたからチェックしていただけなのに気付いたら次の週には全巻購入していた。きっかけが険しすぎる。

とにもかくにも作中に出てくる映画の幅が広くて驚かされる。

タイトルは知っているけれど内容は知らなかった作品、そもそも存在すら知らなかった作品などなど。自分もそこそこR-15指定の映画は見ている方だと思っていたけれど、毎話1作品がフィーチャーされる中でちゃんと観たことあるものは2作くらいしかなかったので若干悲しくなりつつ、面白そうだと思った作品は全部メモした。R-15って言っても色々あるんだな…(当たり前)

それだけだったらもはや映画レビューの本やブログを読めばいいだけなのだが、ラブコメとしても読み応えがある、というか率直に言って赤面ヒロインが性癖に刺さる(突然の開示)。3巻からテンプレZ世代みたいな新ヒロインが出てくるのだが、彼女の存在をきっかけに現代の娯楽における映画の立ち位置なんかについても考えさせられるし、やっぱり映画が本当に好きな人が真面目に書いた作品なんだろう。

 

小説

Another エピソードS

Another 2001(上)(下)

令和の鈍器本こと『Another 2001』がこの夏文庫本になったということで、7年ほど積読していた『エピソードS』と合わせて一気読みした。7年積読したのに読み始めたら3冊まとめて3日で読み終わってしまった。

僕がこの作品を好きな理由の6割、いや7割くらいは黒髪眼帯のミステリアスかつ儚げ美少女なのにまぁまぁいい性格をしている見崎鳴ちゃんの魅力にあるわけだが、「2001年だと時代が全然違うしメインキャラは総入れ替えなのかな~」と思っていたところ存外に鳴の出番が多い。というか終盤はほぼ鳴がメインといっても良いような構成で驚いた。その一方で鳴が"現象"によって普通に記憶が改変され、「半身」とまで呼んでいた美咲の名前すら忘れていたのはショックだった。彼女の特別性を信じていたというか、"死の色"が見えるという彼女は夜見山の"現象"にも負けないんじゃないかとどこかで思っていた節があったんだなと気付かされた。描写があからさまなおかげで物語のオチについてもある程度早い段階で当たりがつくんだけれど、本作では"死者"は誰かという謎解きよりも登場人物の描写に力が入っているように感じた。これだけ人が死んでいて何やねんという感じだけど、本作はかなり青春小説していると思う。主人公の想が鳴に向ける甘酸っぱい目線だったり、その想に想いを向ける葉住だったり(彼女の存在感が後半に向けて急速に消えていくのは何なんだ…)。等身大の中学生らしい感情が"災厄"という異常事態の中でもしっかり描かれているのが前作と比較してだいぶ新鮮だった。

冷静に多感な男子中学生が見崎鳴ちゃん(18)をぶつけられたら情緒が狂う。

本編のことではないけれど、文庫版の解説が綾辻作品をきっかけに作家を志したという辻村深月さんなのも個人的には注目ポイントで、物語を読み取る切り口や深さなど舌を巻くような内容で読み応えがあった。それこそ辻村さんの『傲慢と善良』の文庫版に寄せられた朝井リョウさんの解説も名文だと思ったし、いい書き手はやはりいい読み手でもあるんだな、と思う。

 

6月は色々観たり読んだりした方だと思われる。いちいち書いてないけど春アニメは好みの作品が多かったし、リョクシャカのツアーもあったし。

エンタメ摂取量が高めなのは満足ではあるのだが、その代償として本業のインプットが全然追いつかなくてヤブ医者一直線なのだけなんとかしたい。

 

 

 

 

 

 

 

2023年5月振り返り

もう7月です。(2)

 

①暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャー

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SNSでとんでもないくらい盛り上がっていた『ゼンカイ』と『ドンブラ』の「VS」シリーズ。予告でチュンちゃんが「混ぜるな危険!」って言っていたし実際この2作が混ざったらどうなるんだよ…と思ってはいたんだけど、蓋を開けてみたらそもそもそんなに混ざっていなかったという。一番クロスオーバーしてたのがカシワモチワルドと忍者おじさんっていったいどういうことなんだ…。タロウの記憶もさらっと戻るし、本当に「俺たちの50話は何だったんだ(笑)」状態だった。ジロウもタロウがいなくなったら即刻今まで通り調子に乗るし、本当に何の話だったんだ…。

あと、相変わらずゾックス役の増子さんの顔が良すぎる。このご尊顔で繰り出されるキレッキレのツーカイダンスが久しぶりに観れるというだけで本作を鑑賞する価値がある。ニチアサには定期的にとんでもないレベルのイケメン(しかも演技もアクションもできる)が供給されてくるけれど本当にどこから見つけてくるのか不思議でしょうがない。最近は2.5畑からの輸入も多そうだが。

 

岸辺露伴ルーヴルへ行く

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いつの間にやらお正月の恒例番組となりつつある『岸辺露伴は動かない』シリーズ。流石に映画化まで行くとは思っていなかった…。

『動かない』シリーズは原作既読のやつとそうじゃないやつが混在していて、今回の『ルーヴル』は未読のエピソード。それ故どこまでが原作にあるエピソードなのか分からないけれど、もう最初のオークションの場面から露伴らしさ全開でにやついてしまった。舞台をパリに移したとは言え本作の魅力である露伴先生と泉くんの軽妙なやりとりや、「奇妙な」現象とそれに立ち向かう露伴先生の姿は健在。

逆に言うと映画でやってる割にはなんかいつも通りだな…?という感じを覚えてしまったが。いやちゃんとフランスでロケしてるしすごいんだけど…最後の方はずっと地下室だしフランス感が薄いというか…。それくらい普段ドラマ版の画作りができているということの裏返しでもあるか。

そういえば本作では少年時代の露伴先生の回想シーンがあったけど、思っていたより等身大の子供だったんだな…とは思った。どうして今みたいになったんだ。

 

5月、GWとかあったのに全然映画観てないしなにやってたんだっけ…と思ってカレンダーやらいろいろ観直してたけど、週末が割と別予定で埋まっていたのと、そもそもGWずっと辻村深月作品読んでたんだった。

 

作品摂取のバランスが極端すぎる。

とは言え5月公開映画の一覧を見返しても観たい作品がそんなにあったかというと…。

そういう時は旧作を観ろという話なのだが。

2023年4月振り返り

もう7月です。

Twitterで「ブログ書かないんですか?」って言ってくれる数人のおかげで何とか書くことができました。観た映画の感想くらいしか書くことないし、そんなに価値のあることを書いているつもりもないけれど…。

 

①聖地には蜘蛛が巣を張る

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イランにイスラムシーア派の聖地マシュハドという街がある。

2017年だか18年にイラン旅行に行ったとき、現地で出会った日本人の方に「マシュハドは本当にいい街だった」という話をされてからずっと気になっていた。そういう経緯で、マシュハドを舞台にした映画というだけで本作を観るには十分なモチベーションになった。こんな凄惨な事件が起こっていたことは流石に知らなかったけれど。

…と思って映画を観に行ったのにロケ地はヨルダンのアンマンだったらしい(ちなみにアンマンにも行ったことがあるが、あまりいい思い出がない)。

冷静に考えればこんな内容の映画をイランで撮れるわけがないのだが。

マシュハドで起こる連続殺人事件の調査のため、現地を訪れた主人公の女性ジャーナリストが1人でホテルに泊まろうとしたときの対応は特にめちゃくちゃイランっぽいなあ…と思ってしまった。女性は1人で行動する権利が与えられていないというか、男性の所有物みたいな感覚がデフォルトみたいな…。

僕は1回旅行させてもらったくらいしかイランの事を知らないし、長年存在してきたであろう価値観にどうこう言える立場でもないけれど、それでも16人の女性を殺害した人間の無罪を信じる世論が一定数存在して、あわやそれが通ってしまいかねない社会が存在することには驚きを隠せなかった。

ラストシーンでは犯人の子供にも思想が伝播していることを印象付けるシーンがあって、この価値観は次世代にも伝わっていく根の深い問題なんだな…と思わされたり。

それはそれとしてマシュハドには1回行ってみたいものである。

 

 

マイ・フェア・レディ

eiga.com

「午前十時の映画祭」で鑑賞した。長い映画はやはり映画館で観た方が集中できる。

約60年前の作品だがコメディもドラマ面も面白く、現代でも色褪せない魅力のある作品であることは間違いない。クラシカルな作品については正直教養だと自分に言い聞かせて観ている部分もあるので、観終わった後に「見てはみたけどこれ面白いの…?」という気持ちになることも多々あるのだが、本作についてはそのような感情とは無縁なまま映画館を後にすることができた。

ヒギンズの悪口を歌っていたら本人登場したシーンのリアクションや、競馬場でのドタバタなんかは、コテコテではあるのだがやっぱり笑えてしまう。

ストーリー面でも、エライザが言葉遣いなどの教養を身に付けるにつれて人間としても洗練され成長していく過程や、ヒギンズとの関係性の変化あたりが見どころ。

特にヒギンズとのロマンスについては、盲信的な惚れた惚れないではなく、好きな部分も嫌な部分もある中で…と多面的な描かれ方をしていたのが好印象だった。ヒギンズがまぁまぁクソ野郎で、全面的な好意には値しない人間だからというのもある。

特にヒギンズが暖炉に投げた指輪を拾うときのエライザの表情の移り変わりはそれを象徴する場面だと思っていて、「このオードリー・ヘプバーンっていう人もしかして凄い女優さんなのでは?」という気付きを2023年にもなって得ることができた(30歳・男性)。

余談としてはフェミニストの方が聴いたら卒倒しそうな劇中歌(当然ヒギンズが歌っている)があって流石にヤバいだろ…と思ってしまったけど、作中の時代背景や価値観を尊重していただくということでひとつ。