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ひまわり

 


恋愛映画の金字塔が50周年で蘇る/映画『ひまわり 50周年HDレストア版』予告編

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第二次世界大戦下、陽気なアントニオ(マストロヤンニ)と結婚したナポリ女のジョバンナ(ローレン)は、夫を戦争に行かせないために狂言芝居までするが、アントニオは地獄のソ連戦線に送られてしまう。

終戦後も戻らない夫を探すために、ジョバンナはソ連に向かい夫の足跡を追う。しかし、広大なひまわり畑の果てに待っていたのは、美しいロシア娘と結婚し、子供に恵まれた幸せなアントニオの姿だった…。

先日『アングスト』を観に行った川越市内の映画館で上映予定とあったので観に行くことに。大学生の時に観た同監督の『自転車泥棒』が良い作品だったので割と楽しみにしていました。

スクリーンに最初に映し出される、ひまわり畑の美しさから受けるイメージとは真逆の悲しげな音楽から察せられたのですが、『自転車泥棒』と同じで何とも救われない話でした…。

 

ロシア戦線で行方不明になった夫は生きている、と半ば強迫的に信じたジョヴァンナは、夫を探すためにモスクワまで旅をする。この時のジョヴァンナは「生きていてくれればそれでいい」と縋る気持ちでモスクワに向かったんだと思うのですが、待ち受けていたのはアントニオが現地で家族を作っていたという、死別よりも残酷な真実。

再会してしまったことでアントニオの妻に対する心も揺れてしまい、ソ連で得た家庭の不和に繋がる。ソ連の現地妻(美人)はマジで可哀想でしかない。子供もいるのに。

純粋な愛故に起こした行動(当時の社会状況を考えるとイタリアから単身モスクワに、ってとんでもないことだと思う)が皮肉にも全てをぶち壊してしまっているのがただただ救えなくて、「ジョヴァンナはアントニオを探しに来るべきではなかったのではないか?」とすら思える。

アントニオはジョヴァンナを忘れきれずにイタリアまで会いに来てしまうのだけれど、最終的に2人は結ばれることなく、ビターな結末になってしまうというのも、2人の人生はもうやり直せないところまですれ違ってしまっているというのが伝わってきて良かったです。ここでまたくっついたら安っぽくなっちゃうと思うので…。

(そしてここで通りすがりの女性の家に転がり込んでしまうアントニオがクソすぎて最高でした。そういうとこだぞ)

 

ただ結局タイトルにもなった「ひまわり」ってどういうことなんだろう?とは思って。

勿論ひまわり畑のシーンは印象的だったのですが、作劇的にどういう意味があったのかな、という疑問はちょっと残りました。

「ひまわり畑の下には無数のイタリア兵やロシア人捕虜の死体が埋まっている」という話があったので、純粋な愛を動機としてソ連まで来たのに残酷な事実を掘り出してしまったジョヴァンナの状況にかけてるとかでしょうか。やっぱり皮肉な話だな。

 

おしまい。