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他人の好意を台無しにするブログ

泣きたい私は猫をかぶる

 

nakineko-movie.com

花に亡霊

花に亡霊

  • ヨルシカ
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

6月に劇場公開する予定だったのが社会情勢の影響でNetflix配信作品に変更されたアニメ映画。時代ですね。

 

岡田麿里さんの脚本作品というのは勿論なのですが、今作の主題歌を担当しているヨルシカの曲を最近聴き始めたということもあって楽しみにしていた作品で、配信開始初日に視聴しました。

 

猫に変身したムゲがとにかく可愛い。僕自身が猫好きというのも多分に影響していると思いますが、何気ないしぐさや鳴き声が本当の子猫みたいで顔面がとろけてなくなりそうでした。

 

「猫をかぶる」ことで想い人の日之出に近付いたり、家族の問題から目をそらしたりとギミックを活かした前半の心情描写が良かったです。猫の状態だったら想いを寄せる日之出の近くにいられるし大切にしてもらえるけど、「本当の」自分を好きと言ってもらいたい葛藤はそのまま「猫を被る」ことで日々をやり過ごしている我々の一般的な感覚として理解できると思うし、こういうのうまいなあ、と感心してしまいます。

ファンタジー要素を1点入れて人物の機微を描く、もはや岡田麿里さんのお家芸みたいなところ。その要素について特に説明しないの含めてらしいなあと思いました。

 

主人公の家庭環境の描写も「らしさ」がしっかり出ているのが面白かったです。

雪山で見たことあるような殴り合いのインパクトは勿論なのですが、母から義母に送られた長文メールが生々しすぎて「うわぁ…」って声が出てしまいました。

この辺だと「無理して笑って何が悪いんだよ!そうしたいからそうしてるんだよ」って義母に心情を吐露するシーンが一番印象的でした。急に両親が再婚して、無理して笑わない方が不自然だし、その気持ちを正直に表に出したところで喜ばれるはずもない。そもそもアニメ作品でこういう感情にフォーカスが当たることすらそうそうないと思うんですけど、ご経験がおありなんですか?というくらいのリアリティある描写でした。そしてありそう…。

 

後半猫島に入ってから若干盛り上がりに欠けるかなっていう印象はあるのですが、猫を被ることも猫に変身するのもやめて、日之出にも家族にも素の自分で向き合っていくようになる、というストーリーが美しい作品でした。

ネットフリックスさんありがとうございます。

 

おしまい。