その分現金でくださいよ。

他人の好意を台無しにするブログ

2022年9月振り返り

9月が終わり、10月どころか11月になってしまった…

計画性を持って文章を書いていきたい…。

 

映画

『ブレット・トレイン』

www.bullettrain-movie.jp

伊坂幸太郎の『マリアビートル』が原作という話を聞いてからずっと注目していたんですけど、予告映像の時点から「これはバカ映画ですよ!!」という主張が全開で「マリアビートルってこんな話だっけ…。」と困惑させられた作品。そもそも原作は東北新幹線なのになぜか京都行きになってたり、ソメイティのパクリみたいな謎キャラが出てきたり、明らかにいろいろ間違ってるジャパニーズヤクザが出てきたりと僕の中の伊坂幸太郎作品像が揺るがされそうになりましたが、小気味良い会話劇だったりアクの強いキャラクターなどは割と原作の雰囲気が出てるんですよね。アリかナシかでいったらめっちゃアリな作品だと思います。

原作では「王子」普通に男の子だったけど、メスガキ感のある女の子になってたのはちょっと面白かった。

読書

『凍りのくじら』

子供の頃から読書に親しんでいた人で、主人公の理帆子みたいに読書で得た語彙や知識を盾にしてなんとなく周りの人を下に見ていたり、フィクションの世界と現実を比較してなんとなく自分は達観できているような感覚を覚えたりした経験がない、って人はいないんじゃないでしょうか。いちいち言うのも恥ずかしいんだけど。この感覚に「少し・不在」という名前を付ける辻村深月のセンスが素敵すぎる。

本作が素晴らしいな、と思ったのは、現実を達観した気になっている理帆子に手痛い一撃を加えるのが、彼女と同じように現実を軽視している元彼の若尾くんだという点。若尾くんは理帆子のif, もしくは鏡写しのようなキャラクターだと思っていて(それはそうとこいつの情けなさにまみれた描写は読んでいて本当に無理だった)、そいつが「不在」だった理帆子が手に入れたささやかな現実との接点をぶっ壊そうとしてしまう。「人間の脈絡のなさを舐めない方がいい」という一文がとにかく印象的で、結局は本で世界を知った気になっていた理帆子の傲慢そのものが自分に襲い掛かっている、とも受け取れる展開になっている。本当にこの台詞は刺さるものがありました。

フィクションって基本的にすべての演出に意図があるもの(だと思っている)なので、ロジカルに話が進むんですよね。登場人物の感情すら何かしらの意図がある。でも現実はそうじゃない。フィクションを摂取することで、現実をわかったつもりになる傲慢さに対する警鐘としてすごく響く台詞だと思いました。

そんな理帆子(及び現実を舐め切っている読者諸君)にも「不在なんかじゃないよ」って優しいメッセージを送って締めてくれるのは辻村作品らしいですけどね。

 

琥珀の夏』

今、時勢的にもカルトが熱いですからね。

子供時代をどのような環境で過ごすかって、ほぼ選択の自由がない。その環境を後から全否定されてしまったら、その人の人生はどうなるのかというお話。

でも1番インパクトが強かったのは娘の保育園が決まらない+娘がグズりだすのコンボで精神的に限界を迎える場面だったり……。

未だ結婚すらもしていないし予定もないのだけれど、子育ては僕には早すぎると畏まらざるを得ない。

 

『傲慢と善良』

2022年、辻村深月さんの小説ばっかり読んでるけど、受けた衝撃ではトップクラスかもしれない。

皮一枚隔てたら相手が何を考えてるのかなんてわかったもんじゃない、ということに起因する不気味さを描写するのが上手いと思うけど、それがよりにもよって婚約者というのが怖い。失踪するまで、婚約者が見せる表の顔しか知らなかった、というのは現代の出会いの形を考えるとありえない話ではないしリアル。僕もマッチングアプリで会った人の9割にフルネーム教えてなかったし

"婚活"を通して現代を生きる人の「傲慢」と「善良」が炙り出されていく。本当にハッとさせられる文章が多かった。引用したい箇所が多すぎて選べない。

そしてこの2つが、他人と関係を作ろうとする際に邪魔をしてくるんだろうな、と思わされる。結婚に限らずですが。

それに加えて、田舎特有の(なのか知らんけど)閉じた価値観のなかで生きる人々の描写が鮮明なのも印象的で、特に真実の母親の悪意のない害悪さは悍ましいものがあった。

後半では前半と別の小説になったのかと思えるくらいハートフルな感じになって少し拍子抜けしましたが、婚活を考えている人も婚活に疲れた人も異常独身男性もまずこの小説を読んだほうがいいと思います。

 

漫画

かってに改蔵』中盤以降ぶれない安定の作風。
久米田先生は一生このノリで漫画描いてほしい。
そして一生火田先生をイジり倒しててほしい。
 

アニメがあまりにも面白すぎたので速攻で単行本を買い揃えました。ついに我が家の本棚はキャパオーバーを迎え、新たな作品を置く場所がありません。

スポーツもの特有の熱さや魅力的なキャラたちが織りなす青春要素はもちろんですが、「言語化」「コーチング」「課題解決」などユースらしい、そして本作が少年誌ではなく青年誌で連載されていることも頷けるサッカーの知的な部分にフォーカスが当たっていること、その両者が高いレベルでエンタメに昇華されているのがこの上なく魅力的な作品でした。そして一条花ちゃんが可愛い。

アニメの部分から更に面白くなるという話を聞いていたのですが本当にその通り。アニメとの差異としては、決めゴマの迫力が凄い作家さんだなあと。

アシトが覚醒したときの描写は割と狂気に片足突っ込んでいるような。

ほんとにずっと面白かったんだけど、特に青森星蘭戦はパーフェクトな試合すぎて5回くらい読み直してしまった。両チーム1歩も譲らない戦術の応酬、最強のライバル・北野蓮、"攻守パーフェクト"の言語化、そして阿久津との信頼関係…と読み応えしかなくて、今後これより面白い試合が描けるのか心配になってしまうレベル。はやくアニメでも観たいので、2期、3期と続く長寿作品になってくれると良いですね。

 

その他

緑黄色社会×日本武道館 “20122022”に行ってきました

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緑黄色社会、ここ2年くらいハマってるんですよね。

ヒロアカの主題歌だった『Shout Baby』を聞いて、『SINGALONG』でバンドの魅力に引きこまれて。本当に最近名前を知ったのでデビュー10周年なの?ってびっくりしたんですけど、メジャーデビューは2018年らしいのでそんなもんか。

ほんとは『Actor』のツアーも参加したかったんですけど、東京・神奈川・埼玉全落ちしたので今回はおみくじの引けないファンクラブに入ってチケット確保。

フェスでリョクシャカの生パフォーマンスは何回か聴いていたんですが、やっぱりボーカルの歌唱力、表現力が圧倒的。音楽を聴いていて、メロディとかリズムラインに惚れることは結構あるんですけど、ボーカルの歌唱力でここまで殴られる経験がなかなかないのでハマってしまったのかもしれません。

『Shout Baby』の歌い出しを完全アカペラでやってたときは両日鳥肌が立ちました。直前に長屋さんがCOVID-19に罹患してどうなるか心配ではあったんですけど、杞憂だった。

 

・長崎旅行に行ってきましたf:id:toweliexx:20221108172511j:imagef:id:toweliexx:20221108172527j:imagef:id:toweliexx:20221108172607j:image

COVID-19が流行する前はちょくちょく旅行に行っていた面子6人で長崎旅行に行ってきました。何故かここ数年長崎に行く機会が多かったのですが、ハウステンボス軍艦島といった定番の観光地に行くことはなかったのですごく新鮮でございました。

ハウステンボス、大昔に親に連れて行ってもらったらしいけど全く記憶にない…。思ったより異国情緒が出ていてびっくりしました。そして敷地内にウインズがあるのはもっとびっくりしました。

あと印象的だったのは、初日に佐世保で泊まったゲストハウスの居心地がすこぶる良かったこと。年甲斐もなく料理やお菓子を買いまくってバカ食いしたのも楽しかった。

 

 

そもそも、この歳になって6人組で旅行に行ってくれる人がいること自体に感謝です。

 

9月はこんな感じでしょうか。

もう11月なんですけど、次は10月の振り返りも書いていかないと…

おしまい