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雨に唄えば

 

雨に唄えば(字幕版)

雨に唄えば(字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 無声映画からトーキーに移行し始めた頃のハリウッド。人気スターのドンとリーナは何度も共演し結婚を噂される間柄だが、ドンはつけ上がった態度のリーナに愛想を尽かしている。そんなある夜、ドンは歌も踊りも上手い新進女優キャシーと恋に落ちる。その後、ドンとリーナの新作がトーキーで製作されることになるが、リーナの致命的な悪声のために不評を買ってしまう。そこでドンはリーナの声をキャシーに吹き替えて製作することを思い立つ。

 『時計じかけのオレンジ』のとあるシーンで主人公のアレックスが歌ってる曲、というめちゃくちゃ偏ったイメージしかない作品でしたが、アマプラにあったので観てみることに。

 

実際見てみるととにかくテンポが良い。そしてやたらと早口。

映画ってドラマやアニメと違って*11回視聴のテーブルにつかせてしまえば基本的に最後まで観てもらえるメディアなので、スロースタートというかぶっちゃけ序盤が退屈だなって思う作品が多いのですが、この作品は『Singin' in the rain』の歌唱で惹きつけてから始まるドンの回想シーンにおける歌とダンスのクオリティが高いし、スタントのシーンもいちいち面白くて序盤の勢いがあるなあと思いました。

ジーン・ケリー、歌もダンスもスタントも演技も出来て監督までやるって世の中にはすごい人がいたんですね…。

 

ストーリーもサイレントからトーキーに移行することで(主にリーナのせいで)生まれる問題をコメディチックに描いていて楽しい。今のご時世サイレント映画なんてないから意識したことはなかったけど、単純に音がつく、っていう簡単な話ではなかったんだな…

サイレントでは人気女優だったけれど致命的な悪声のせいでピンチになるリーナ*2、というキャラクターがコメディパートの核になっていて面白かったです。

やっぱ顔だけで選ぶ奴は何をやってもダメなんだよな~。声のバラエティが大事。

 

ミュージカル作品ってあまり観ないのですが歌とダンスのクオリティは素人目に見ても素晴らしかったです。ドンが雨に打たれながら『Singin' in the rain』を歌う有名なシーンはもちろんですが、それ以外の歌唱シーンもよかった。コズモが歌う『Make 'em Laugh』が好きかなあ。

 

総じて作中の時代背景とキャラクター、そしてミュージカル要素が上手くマッチしている名作でした。みんな褒めるだけあるし、70年近く前の映画だけど今でも色褪せない魅力がありました。『時計じかけのオレンジ』でああいう使い方をされたのには怒っていいと思います。

 

おしまい。

*1:続きもののドラマやアニメは最初が面白くないと演者目当てでもない限り切られるのでより序盤が大事だと思います

*2:あまりにも傲慢なので自分の立場がピンチなのに気付いてないのも面白い