その分現金でくださいよ。

他人の好意を台無しにするブログ

ヲタクに恋は難しい

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wotakoi-movie.com

 

映画館に行くと嫌というほど広告が流れてきて気にはなっていた作品なのですが、機会があったので観に行ってきました。非常にありがたいことに2回も観に行く機会があったので2日連続で観に行きました。理由は深く聞かないでください。

『女子ーズ』を3回観た僕に観れない福田作品はない!

 

ちなみに原作もアニメも内容に触れたことはなくて、本屋で単行本の表紙を見たことあるくらいの知識なので映画の話しかできませんが、主役2人のビジュアルは結構寄せられてるんじゃないかなぁ、という印象。あと個人的に高畑充希さんはコメディ向いてると思うのでそこは楽しみでした。

 

というか発行部数900万部ってすごくないですか?

 

あらすじは原作もアニメも知らない僕でも知ってたんだからみんな知ってるでしょう。割愛。

 

開幕から佐藤二朗のひとり芝居がダダ滑りしていて不安しかないスタート。

ご存じの通り福田雄一作品の常連なわけですが、これ面白いと思ってる人いるのかな…『女子ーズ』でもスベってたし…(あの映画は彼に限らず全てが滑ってましたが)

映画の最初のシーンって作品世界に観客を導入する大事な部分だと思うんですけど、おもんないおじさんが1人で喋ってスベってるという時点で暗雲が立ち込めていました。無理してこの人使わなくていいんじゃ…。

 

そこから主演のナルミちゃんが転職先の会社で幼馴染のヒロタカと再会し、居酒屋でswitch版のMHXXをプレイして交際スタート。テンポが速い。

…は別にいいんですけどここから頻回にミュージカルのシーンが入ってくる。

のも別にいいんですけどそのミュージカルのシーンが特に面白くもないし、冗長なのがこの映画の最大の問題点じゃないでしょうか。

最初のビッグサイトでナルミとヒロタカがたくさんのレイヤーと踊るところが一番顕著だと思うんですけど、3パターンくらいしかないカメラワークで無駄に長い歌とダンスが続く。

レミゼとかグレイテスト・ショーマンみたいにやれとまでは言わないですが、映画なんだからカメラワークとかもうちょっと頑張ってほしいし、そもそも場所固定で踊るだけのものをミュージカルって言うのはどうなんだ…。

死霊の盆踊り』よりはちゃんとしてましたが。

 そこそこの製作費かけて、原作にない(原作を知りませんが、ないらしいです)ミュージカル要素を追加して、観客から1800円取って出来上がったものがネットに上がっている「踊ってみた」と同レベルなのはちょっと…。この歌と踊りで妙に尺使うからめっちゃ気になってしまうんですよね。

予告のポスターの時点で明らかに『ラ・ラ・ランド』意識してるし、実際パクりに片足突っ込んだダンスもありましたが、さすがにこのクオリティだとデイミアン・チャゼルに謝ったほうがいいのでは?

 

ちなみに、高畑充希さんはミュージカルの経験豊富なだけあってめちゃくちゃ歌うまかったし、これは文句なしの評価点です。歌に限らず、コメディチックな描写の演技や表情もかなり好きでした。残念ながらクスリとも笑えませんでしたが、これは演者の問題ではないでしょう。

 

ストーリーは特に言うこともないのですが、オタクだから恋が難しいんじゃなくて単純にヒロタカのコミュニケーション力に問題があるのでは…?としか思えない内容でした。ヒロタカ、オタクのせいにするんじゃないよ。

あとナルミも普通にヒロタカを自分の趣味に付き合わせて振り回してるようにしか見えなくてどちらにもあんまり共感できませんでした。やっぱ「オタクはキモいから無理」ですね。

 

公開直後から作中のオタク描写の陳腐さが(悪い意味で)話題になってて、実際それは間違ってはないと思うんですけど、周りの観客を見るとどう考えてもそういう描写の正確性を気にするような層に向けられた映画ではないことに気付いたのでまぁこんなもんだろう…という優しい気持ちになれました。正直リアルな今のオタクの生態を映画にして何がおもろいねんというか、そこに誠実であることがこの映画の本質じゃないというか。

ラストサムライ』で整合性もへったくれもないのは製作陣承知の上でニンジャが出てきたのと同じで、この映画の観客層に向けた「ヲタク」像を描いてるだけなんじゃないかな。うん。たぶん。

にしては碇ゲンドウのネタをゴリ押ししてきたり、モンハンのキャラを使った演出なのにBGMがエヴァのそれだったり結局何がしたいの?みたいな描写も多くて、単に映画作ってるおじさん達の頭の中が10年以上前で止まってるだけって可能性も十分あると思いますが…。

 

自分が1番キモいオタクのくせにオタクはキモいから無理って棚上げするナルミとか、同じオタクを名乗っててもジャンル違ってて全然コミュニケーションとれてないナルミとヒロタカとか、その辺は割とあるあるだなあと思いました。

 

そしてもはや内容と全く関係ないんですけど、ヒロタカがご乱心して内田真礼さんのオタクになってくれたおかげで『ギミー!レボリューション』がスクリーンで観れたのはよかったですね。まぁヒロタカが最前なのにサビ前に帰ったせいで「れすきゅー!」が聴けなかったんですが。ヒロタカマジで許せねえ。あと同僚のまれいたそオタク役の賀来賢人はめちゃくちゃはっちゃけてて面白かった。原作にはいないキャラらしいですが。

そして1ミリもこの映画に関わってないのに名前だけ使われた梶裕貴くん…。

 

そういうことも考えるとやっぱりミュージカル要素のダメさが一番問題かなと。 

「わざわざ」「別にミュージカル要素がない原作を」ミュージカル仕立てにしてそのミュージカルのクオリティが低いっていうのはコンセプトから瓦解しているのでは?

広告の打ち方や割かれている尺を考えると、そういう映画じゃないでしょ、と反論するのは苦しいかなあと。レミゼグレイテスト・ショーマンみたいにしろとは言わないけど(2回目)、観客が払うのは同じ1800円ですからね?それに見合ってるかと言われると…。

逆にSNSでたくさん流れてきたオタク描写に対する批判は若干ずれているような気がします。

作中のオタクたちの言葉遣いや流れてくる字幕のあまりの痛々しさに共感性羞恥を感じてしまうというのであればそれはすごくよく分かるのですが…。

 

この映画を2回観たことによって僕の福田雄一耐性もさらなるレベルアップを遂げました。次何が来ても怖くないと思います。

それでもやっぱり佐藤二朗はスベってるよ…。

 

おしまい。