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夢を与える

 

連続ドラマW 夢を与える [DVD]

連続ドラマW 夢を与える [DVD]

  • 発売日: 2016/01/22
  • メディア: DVD
 

 

小松菜奈さん、7年前にとあるCMで初めて存在を知って、映画『渇き』でデビュー作とは思えないその圧倒的な存在感に引き込まれてから大好きな女優です。

 

余談ですが、知るきっかけになったdビデオのCMについて久しぶりに調べていたらこのCMの監督は『渇き。』と同じ中島哲也だったと知ってすごく納得してしまいました。小松菜奈さんの才能を最初に見出だしたのってやっぱ中島監督なんだなあ。

 

仕事を選んでいるのか出演作がだいぶ映画に偏っているのですが、数少ないドラマ主演作がAmazon Primeで配信されていたので観てみることに。

 

CMの子役として幼少期から芸能界で生きる夕子と、その夕子に過度な期待を抱く、言ってしまえば毒親の幹子を中心とした物語。幹子が自分の夢を夕子に仮託して芸能界でスターにのし上がらせようとした結果夫や娘の心は離れていき、最終的には夕子のスキャンダルによって転落していく、という話です。

 

全4話に渡って、とにかくキャスト陣の演技が素晴らしい作品でした。

 

小松菜奈さんはもちろん、1話の時点で明らかにまとう雰囲気がおかしい母親・幹子役の菊地凛子さんの演技から目が離せませんでした。どんなに家庭が実質崩壊していたとしても、フランス人の妻で有名子役の娘、というステータスに狂信的にしがみつく姿は恐怖ですらある。

 

そしてこの一家に寄り添ってきた広告代理店のディレクター・村野を演じるオダギリジョーの演技も印象的でした。特に最終話で「家族みたいなもの」と言っていた夕子を(皮肉にも「本当の」家族との生活を守るために)裏切る形でテレビ出演を勧めるシーンの悲痛さ。まぁオダジョーの演技が上手いことなんて20年前から分かりきっていることなんですけどね。

 

あとは夕子の恋人のダンサー役の、まだブレイクする前の真剣佑もすごく雰囲気のある演技していたと思います。王道爽やかイケメンみたいな役が多い印象なのですが、こういうダウナーな感じでもめちゃくちゃかっこいいですね。まぁ元が良いので。

 

小松菜奈さんは嘘と欺瞞で塗り固められた芸能界とそこでの存在を強要する母親への嫌悪感をぶちまけるシーンも、初めて本当に愛してると言える人を見つけて幸せそうに笑うシーンも、その人に裏切られたことで転落してしまってからの虚無の表情も、あらゆるシーンから目が離せない。どの作品を観ても気品を感じる色気と存在感がある女優だし、同世代で彼女しかできない役どころがたくさんあるな~と勝手に納得してしまう。このドラマの時19歳ってのが信じられないし、末恐ろしい。

ドラマや映画でよく使われる女優さんは基本顔が良いし可愛い演技ってある程度みんなできると思うので、こういう影のある演技を説得力持ってできる人を好きになってしまいがちなんですよね。一生応援しよ。

 

キャラの行動原理がいまいち分かりづらかったり、明らかに一番狂ってるの母親なのに最後特に何もなく許された感があったりと物語としては引っ掛かる部分が目立つし、各話のラストシーンが全部唐突な、しかも盛り上がりもしないカットで連続ドラマとしてそれはどうなんだよって部分もあるのですが、画面から伝わってくるキャストの引力が強くて目が離せない作品でした。

 

まだ彼女の出演作で観てない作品もあるので機会があればちょくちょく観ていきたいですが、公開予定の最新作が全然面白くなさそうなのですでに頭が痛いです。流行曲からインスパイアされて映画作る流れ早く廃れないかな。

 

おしまい。