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博士と彼女のセオリー

 

博士と彼女のセオリー (字幕版)

博士と彼女のセオリー (字幕版)

  • 発売日: 2015/07/22
  • メディア: Prime Video
 

 『イントゥ・ザ・スカイ』と同じエディ・レッドメインフェリシティ・ジョーンズ共演作。実は前々から、というか劇場公開時から観たいとは思ってた作品なんですけど結局…といういつものパターン。いつの間にか5年経ってるし。

 

エディ・レッドメインが著名な科学者スティーヴン・ホーキング博士を演じ、称賛を浴びた。かつては若く健康で活動的だったスティーヴン。21歳の時、彼はケンブリッジ大学の学生であるジェーン・ワイルド(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い恋に落ちるが、時を同じくして余命宣告を受ける。ジェーンの献身的な支えを受け、スティーヴンは意欲的に研究に打ち込む。その内容は彼にとってまさに貴重なもの、時間についてだった。2人は力を合わせて絶望的な状況に立ち向かい、誰にも想像できなかった偉業を成し遂げる。

 

ホーキングの科学者的側面というより、ジェーンを初めとした周りの人々との関わりを主題にしたヒューマンドラマでした。ホーキングの理論なんて真面目に映画でやられても何ひとつ理解できない自信があるのでそれは別に良いのですが…。

宇宙物理学者としての才覚を見出され、未来を嘱望されていた時期に不治の難病を発症してしまったホーキングを演じたエディ・レッドメインの演技がとにかくすごい、としか言えない。

 

ALSによって徐々に動かなくなる体、病状が進行するに従って表情筋も動かしづらくなってくるし、会話すら満足にできなくなってしまう。普通に動く体で体が不自由な人間の演技をするというのは本当に難しいことだと思うのですが、本当に神経筋障害がある人のような動きをしていました。

 

特に驚いたのは終盤に病状が悪化して、気管切開されてしまってから30分以上、全くセリフがない状態で演技をしていること。実際の博士同様、機械音声による意思疎通はあるのですが、エディ・レッドメインのセリフは一切ない。つまり表情だけで演技をすることになるのですが上述の通り表情筋も動かなくなってきているという状態なのでその範囲も限られている。その中で長年連れ添った妻、ジェーンとの離婚を決める重要シーンがあるのですが、一言も喋ってないし体も殆ど動いていないのにホーキングの感情が伝わってくる演技で、俳優って凄まじいな…と思わせるシーンでした。こんな演技したらそりゃアカデミー主演男優賞取りますわ。他の出演作も観たくなってしまう。

 

この映画の結末というか、実際にホーキングとジェーンが選んだ道って一般的な物語の幸せな結末ではないと思うんですけど、それでも2人は前に進んでいるって考えたときに『博士と彼女のセオリー』という邦題はめちゃくちゃセンスあるなと思いました。原題が『The Theory of Everything』なのですが、この映画の結末は(それこそホーキングが1つの方程式で宇宙のすべてを説明しようとしたような)普遍的なものというよりは2人が選択した2人だけの道なので、むしろ邦題の方が映画の内容に合ってるんじゃないかと思ったり。

 

洋画の邦題って何かと叩かれがちだったり、センスを疑うようなものも確かに多いんですけど、こういう綺麗な邦題もあるんですよね。

タイトルも作品の一部、というかむしろ顔だと思っているのでタイトルが美しい作品は好きになってしまいがちです。

 

おしまい。