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パラサイト 半地下の家族

 

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韓国映画って今まで1作も観た記憶がないのですが、外国語映画初のアカデミー作品賞と言われてしまうとさすがに気になるので観てきました。

とはいえ、アカデミー作品賞の受賞作って社会派といえば聞こえはいいですけどいわゆる「説教くさい」映画も散見されて苦手な作品も多い(例は挙げませんが)し、基本的に殆ど映画の前情報を調べないので韓国の貧困一家が…っていう筋書きだけでそういう社会に問題提起するような映画なのかな…と思ってしまいました。

別にそういう映画があっちゃいけないとは思いませんが、映画はどこまで行ってもエンターテイメントなのだから「観て面白いかどうか」が第一に来てほしい。

 

全員失業中。日の光も、電波も弱い“半地下住宅”で暮らす貧しいキム一家。大学受験に失敗し続けている長男ギウは、ある理由からエリート大学生の友達に家庭教師の仕事を紹介される。身分を偽り訪れた先は、IT企業を経営するパク社長一家が暮らす“高台の大豪邸”。思いもよらぬ高給の“就職先”を見つけたギウは、続けて美術家庭教師として妹ギジョンを紹介する。徐々に“パラサイト”していくキム一家。しかし、彼らが辿り着く先には、誰にも想像し得ない衝撃の光景が待ち構えていた―。ツイストを効かせながら猛烈に加速していく100%予測不能な展開。喜怒哀楽、全ての感情が揺さぶられる、唯一無二の最高傑作が誕生した!

 

結論から言うと完全に杞憂で、エンターテイメントとして抜群に面白い映画でした。

韓国の金持ちや格差社会に対する皮肉のようなシーンもありましたが、基本的にはキム一家がパク社長の家に「パラサイト」しようと奮闘するブラック・コメディの体でストーリーが進んでいく。この一家、邦題にもある半地下の家でWi-Fiまで上の階の住人にパラサイトしている筋金入りの寄生虫です。他人の家から勝手にWi-Fi乞食しておいてパスワード設定しやがったって文句付けるの、僕の敬愛する坪内地丹くんみたいでめちゃくちゃ笑いそうになりました。

 

キム一家は大金を手にしたいとかパク一家を乗っ取りたいとかじゃなくて「普通に」いい暮らしがしたいだけなので寄生先であるパク一家に対して悪意はないし、コン・ゲームを仕掛けるのではなく、あくまで真剣に寄生に徹しているという描写は面白かったです。寄生虫が宿主を殺すわけにはいきませんからね。

 

キム一家が徐々に寄生していく過程を描いているところだけでも十分楽しい映画だったのですが、もう1つの「パラサイト」家族が登場してからは完全に物語がノンストップモードに突入。というかここからが本番だった。

寄生虫家族同士の仁義なき戦い、そこにタイミング悪く帰宅してきてしまうご主人様一家。世界一汚い三つ巴の室内かくれんぼは本当に面白かった。

 

終盤は割と唐突な惨劇エンドになってしまいちょっとあっけに取られてしまった、というか最後のギテクの衝動的な行動の原理がよくわからなかったです。

富裕層とギテク達貧民層の本質的な断絶を示唆するようなシーンや、無計画に生きようというギテクの心情を示すシーンは挟み込まれてはいて、その断絶を直接的に目の当たりにしてしまったことによる無敵の人ムーブなのは分かるのですが、それにしても唐突すぎないか?そこから繋がっていくエンディングは美しかったですけど。

 

やっぱ歴史的快挙を達成しただけあって面白い作品だったのは間違いないんですけど、エンタメに振りすぎてて逆になんでこれで作品賞取れたんだ?という別の疑問がわいてきました(褒めてます)。

前述の通り、個人的にはアカデミー作品賞受賞作って当たり外れが激しいと思ってるんですけどめちゃくちゃ当たりの部類でした。アレとかアレとか観てるひまがあれば映画館に足を運んでこの映画観てみるといいかと思います。

 

おしまい。