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他人の好意を台無しにするブログ

カミーユ・クローデル

 

「考える人」「地獄の門」等で知られる近代彫刻の巨匠ロダン。その作品を語る上で欠くことのできない存在が若き美貌の女性カミーユ・クローデルロダンの弟子であり、モデルであり、愛人でもあったカミーユ。彼女はロダンとともに数々の作品を生み出す。しかし自分自身の作品が模倣としか評価されない屈辱とロダンの不実に、いつしか精神のバランスを崩していく・・・。19世紀末、愛と芸術の葛藤の中で生きた彫刻家カミーユ・クローデルの後半生を、フランスを代表する2大スター、イザベル・アジャーニジェラール・ドパルデュー共演で描く。独自の創造性と極限の愛を貫き、狂気に至る女の情念を演じたイザベル・アジャーニの演技は世界各国で絶賛され、多くの賞を受賞した。

 『映画大好きポンポさん』に登場するミスティアさんの好きな映画のうち1本。

 

以前『ポゼッション』を観てからイザベル・アジャーニの狂気を孕んだ、なにか一線を越えてしまった女性の演技には惹かれるものがあったので、久しぶりに出演作を観てみることに。

 

愛ゆえに狂気に染まってしまう…というのは完全に『アデルの恋の物語』と被ってるんじゃ…と思いながら観ていたのですが、本作は主人公のカミーユロダンとの出会いによって、女性としてだけではなく、芸術家としても不幸になってしまった、というアクセントがあったかな、と感じました。

(おそらく)カミーユが美貌と彫刻の才能を持ち合わせていなければ、ロダンの目には止まらなかったと思うのですが、そのせいで彼女は愛人として弄ばれ、作品は模倣とみなされ、彫刻家として大成しなかった。

カミーユ自身は「若さと才能を奪われた」とロダンを罵り、弟ポールには「才能は彼女を幸福にしなかった」と語られていましたがまさにその通り。美貌と才能を天から与えられながら、そのギフトのせいで不幸になってしまった。

人生というものの残酷さ、不条理さが生々しい。そしてこれ実話ベースですからね。

 

 

やっぱこういうことってよくあるんですね(ヤバT風)

 

僕は完全にイザベル・アジャーニのぶっ飛んだ演技のファンなのでそちら方面でも大いに楽しめました。不倫シーンから滲み出る色気や、後半完全にやつれ切ったとこまで鬼気迫る演技がちょっと素晴らしすぎますね…。

特にお気に入りなのは、ロダンと決別した直後、縋るように素手で粘土を扱うシーンでしょうか。こういうのが観たくてこの人が出る映画観てるんですよ…。

イザベル・アジャーニ出演作はまぁ基本3-40年前なのと当たり前ですがフランス映画なのでアメリカ映画ほどソフト化や配信に恵まれておらず日本じゃ正直ほぼ観れない作品も多いんですが、まぁ機会があればちょくちょく観ていきたいですね。

 

映画とは関係ないですが、数年前にフランスにカミーユ・クローデルの作品を集めた美術館がオープンしたらしく、本作で扱われた彼女の作品も展示されているみたいなので、フランスに行くことがあればこちらも是非見てみたいな、と思いました。