ゼロの焦点
昨年能登半島を訪れたときに「ヤセの断崖」という景勝地に行って、この作品の舞台となったことで有名、ということを知りました。
勿論タイトルだけなら有名な作品ですが、実際に観たことはない…。という。
機会があったら観てみたいと思っていたところ、たまたま別の作品を探すために行ったTSUTAYAでDVDを見つけたのでレンタルしてみました。
紹介文が盛大に広末涼子主演の2009年版と勘違いされてましたが。
名匠・野村芳太郎監督の手によって松本清張の長編ミステリー小説を映画化。金沢へ出張した広告会社社員で新婚の憲一が、突然現地で消息を絶つ。妻の禎子は単身金沢へ向かい、夫の捜索に乗り出すが…。
テンポよく場面が進んでいくなかで、結婚して1週間しか経っていないため、失踪した夫の事を殆ど知らない主人公・禎子と同じ目線に立って謎の真相を追っていく。
当時は相手のことをよく知らないままの結婚はありふれていたようなので、時代だなあと。
ついでに言うと36で独身だと「なんかあったんじゃないか」と疑われてるのも時代だなあ、と思いました。当然ヤバい年齢だったんですね…。
そして徐々に夫の過去が明らかになっていく中でその兄が殺され、田沼久子の出現からヤセの断崖でのシーン…と流れるように進んでいく。久子が受付をしている一瞬のシーンで彼女の人となりを察することができるっていう作りは上手かったです。全然気づかなかったけど。
断崖での高千穂ひづるの鬼気迫る演技が特に印象的で、真相としては知られたくない過去を知る相手を突発的に殺してしまった…ということなんだけど、その過去の重みも現代とは全然違ったんだろうな、と。
同じ過去を持つ、有馬稲子演じる久子と最後に語り合うシーンも良かった。
ちょうど60年前の映画だし、今観て面白いのかな…という疑念もあったのですが、完全に杞憂だと言えるレベルに面白かった。野村芳太郎、橋本忍、山田洋次とビッグネームが揃ってるだけありますね。『砂の器』なんかも気になってたし、他の松本清張原作映画も観ていこう。
そういえば和倉温泉のシーンがあって、60年前の和倉は今と全然違うな…と思ってたけど加賀屋は当時から同じところにあったんですね。1回は泊まってみたい。
そしてヤセの断崖は実際に見たときと映画で地形違わない?別の場所?ってずっと気になってたんですけど、地震であちこち崩れたらしいです。なるほどね。