その分現金でくださいよ。

他人の好意を台無しにするブログ

死霊の盆踊り

皆さんは『死霊の盆踊り』という映画をご存じでしょうか。

「史上最低の映画監督」と呼ばれることもあるエド・ウッドが製作を手掛け(知りませんでしたが、この映画の監督はエド・ウッドではない)、B級というのもおこがましい内容で逆の意味で有名になりすぎてしまった映画です。

そう言われると1回は観てみたくなるというものでずっと気にはなっていた作品なのですが、先日某お渡し会イベントでポニーキャニオンのイベントスペースにお邪魔した際、会場でこの企画のチラシを発見しました。
余談ですが隣に『ハウス・ジャック・ビルト』のチラシもありました。あの日あの場所にいたオタクの中でこの2作品のチラシを持って帰ったのはたぶん僕だけでしょう。そもそもなんであんな所にあるんだ。

そういえばちょっと前上映があるって(LINEニュースで)記事読んだな…と虚ろな記憶を引っ張りだしつつ、「この映画を映画館で観るチャンスってこれを逃すとなかなかないんじゃないか?」と謎の義務感に駆られてしまいました。そもそも55年前の映画だし。

ということで新宿シネマカリテまで行ってまいりました。元日に。
知名度だけはそれなりにある作品なので、100席ちょいの劇場の8割くらいは埋まっていました。元日にわざわざこの映画を観るためにこの人数が集まったと考えると、上映後にはみんなで飲み会なんか企画したほうがいいんじゃないかとさえ思いました。客層はかなり年上の方が多かったです。ジョニー・デップの『エド・ウッド』にハマった世代なんじゃないかなと勝手に思っています。

あらすじはこんな感じ。

満月の夜、真夜中。人気のない荒れ果てた墓地。黒衣の男が棺桶の中から目覚める。男は夜の帝王クリスウェル。クリスウェルは闇の女王に命じて、不幸な死を遂げた女たちの浮ばれない霊を呼び出す。次々と蘇った女たちの霊は、豊満な肉体を揺らしながら墓場でヌードになり、踊り狂うのだった。ホラー小説家のボブは小説のインスピレーションを得ようと恋人のシャーリーを連れて夜のドライブをしていたが、事故を起こして墓場に迷い込んでしまう。やがて二人はミイラ男と狼男に拉致されて囚われの身となり、墓石に縛り付けられて死霊たちの裸踊りを延々と見せられることになる…。

ただこの映画に関してはあらすじなんて無意味でした。

約90分の映画のうち80分以上が最後の「死霊たちの裸踊りを延々と見せられることになる…。」に集約されているからです。
そして死霊とは言ってもただ外国人のお姉ちゃんが下着1枚で延々踊るだけ。
一応ネイティブ・アメリカンとか奴隷とか花嫁とか設定がついていて最初はそれぞれの衣装を着ているのですが、2分以内に下着1枚になるので無意味です。どんな死霊も脱いでしまえば一緒なんだなあ。
裸踊りも無駄に冗長かつカメラがほとんど固定なので心を無にしながら揺れてるおっぱいを眺めつつ時間を過ぎるのを待つしかないのですが、たまにクオリティが高いのが混じっており、奴隷女?みたいな人のダンスはよかったと思います。

邦題の「盆踊り」はないだろ~~~って思ってたんですけど2曲くらい本当に盆踊りにしか思えない曲があって笑ってしまいました。この映画が変な方向で愛されているのは邦題のセンスによるものが多分にあると思うので、付けた人尊敬します。
アレとかアレみたいな邦題付けた人も見習ってほしい。

他に褒めるところは…ないかな…。
そもそもこれは映画なのか…?、エド・ウッドは脚本ってクレジットされてたけどこの映画の脚本って全く関わってないのと同じでは…?とかそういう疑問が頭をよぎりながら、スクリーンで90分間裸踊りを眺め続けていました。
最後の展開はちょっと意外ではあるんですけど、そこで視聴者裏切るのかよ!って突っ込みどころが満載でした。悪い意味で前評判通り過ぎる…。

別にクオリティなんて求めて観てはいないんですけど、シャーリー役の女優さんの叫び声はドン引きするほどひどかったです。ビ○オペの某キャラの叫び声が迫真の演技に思えるレベル(好きな人いたらごめんなさい)。あと夜の帝王が明らかに右斜め下のカンペを見ていた(この人は映画『エド・ウッド』でもネタになってましたね)。
しかもそれを無意味に繰り返すシーンがあるので爆笑してしまいました。

家でBlu-rayなどで鑑賞するのではなく、映画館で観ることが出来たのはよかったのかなと思います(よくない)。
映画館だと90分間この作品と真剣に向き合う以外の行動がとれないし、時計を見ることもできないからあと何分この裸踊りが続くのかもわからない。
体感では30分くらい経ったかな…と思ってもあ○○れとか超○○と同じでまだ10分も経ってないのかも…もう体内時計は信用できない…と謎の疑心暗鬼になってしまいました。あまりに苦痛だったのか途中で1人リタイアしてましたからね。

「史上最低の映画」の名にふさわしい90分をスクリーンで体感出来て、謎の達成感を得ることは出来ましたが、それ以上でもそれ以下でもありませんでした。あと『エド・ウッド』はもう1回観なおそうかな、って思わせてくれました。あっちは名作ですからね!!!
1月10日まで新宿でやってるらしいので、興味がある人はぜひ新宿シネマカリテに行きましょう。そして僕と死霊の盆踊りトークしましょう。お待ちしております。
この映画館、今回初めて存在を知ったのですがなかなか面白そうな映画を上映しているな、ということに気付いたので今後もチェックしようと思いました。この映画館に出会えたのが今回最大の収穫まである。
実は明日も行く予定です(2周目じゃないですよ)。

余談ですが、最後「提供:ポニーキャニオン」というクレジットが出て冒頭のチラシの謎は解けました。こんな仕事もしてるんですね。