その分現金でくださいよ。

他人の好意を台無しにするブログ

話数単位で選ぶ、2020年TVアニメ10選

友人と話していて10本挙げてみてよ、って言われたので…。

(友達が勝手に応募しちゃって~的なアレ)

 

とはいえ、2020年は割と多くの作品に触れられた(例年比)のと、話数単位という目線で今年の作品を振り返ってみることで魅力を再確認できるというのは間違いないので、今年の視聴作品を振り返って選んでみました。

 

 ルール
・2020年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。

 

『ソマリと森の神様』第4話「叶える花と願う約束」

叶える花と願う約束

叶える花と願う約束

  • メディア: Prime Video
 

 美しいながらも人間が生きるにはあまりにも過酷なファンタジー世界で描かれる、人間の少女ソマリとゴーレムの親子愛を描いた作品。

2人はソマリの本当の両親を探すために旅をしているが、この世界のゴーレムは寿命が1000年きっかりと決まっており、現時点で999年を生きているゴーレムに残された時間は少ない。ソマリは本当の親を知らないこともありゴーレムのことを「おとうさん」と呼んで慕っていて、この時点でもう切ない。

正直ほぼ全話面白いんですけど、「ゴーレムに感情はない」と言いながらもソマリに対する愛情が表出し始め、「旅が終わってもずっと一緒にいてくれる?」というソマリの願いに対し、「ずっと一緒にいよう」と優しい嘘をついたこのエピソードは普通に泣いてしまった。

「ゴーレムに感情はない」というのはこの作品世界の根底にある常識というか、共通認識のようなものだと思うのですが、ソマリとの交わりによってその一線を越え、本来ならありえない嘘をつくのが刺さった一番のポイント。

 

『BNA ビー・エヌ・エー』第4話「Dolphin Daydream」

bna-anime.com

反差別を高らかに謳って騒いでる人たちに限ってイルカだから水の中に入れとけば元気になるでしょ、くらいの知識しかないという痛烈な皮肉が込められた回。

サラは別に悪人というわけでもなく、反差別なのも本当なんでしょうけど、ただただ無知であったことが原因でニナを傷つけてしまった。

差別問題の本質を突いたメッセージ性の高さはもちろんなのですが、この出来事を機にみちるが「獣人の事をもっと知らなければならない」と考えるようになりアニマシティに留まることを決意する、というストーリーの流れにも組み込まれた重要な回だったので選出。

この次の野球回とめちゃくちゃ悩みましたが。

『ヒーリングっど♥プリキュア』第13話「辞める?辞めない?
迷えるひなた!」

www.toei-anim.co.jpシリーズ構成:香村純子につられて初めてプリキュアを1話から追っているのですが、作品のところどころから伝わるヒロイックな熱量が特撮畑のライター感出ているなと。

過去の境遇から「お手当て」に対するモチベーションが高く、体力に不安はあるもメンタリティは強いキュアグレース/のどかと、家業も部活もしっかりこなす、アニメ的な完璧優等生であるキュアフォンテーヌ/ちゆと比べると、キュアスパークル/ひなたは普通の、等身大の女の子として描かれている。

13話ではそんなひなたが「敵が強くなって苦戦が多くなり、お手当てを続けることに対する不安」と「兄や姉と同じことをしても上手くいかず、すぐ辞めてしまう自分へのコンプレックス」を抱えて「プリキュア、辞めちゃうかも…」とこぼしてしまう。

「いつまで続くのか分からない、結果が出るのかも分からないことを頑張って意味があるのか?」という誰もが考えたことがある問いにひなたが答えを出す過程を通してこのキャラクターがとても好きになった。

 

デカダンス』第4話「transmission」

decadence-anime.com

システムとして仕組まれた世界の中で、ナツメの自己決定だとか、自己変革というテーマが最も象徴的に描かれていたのがこの4話。

「世界の真実」を知っているカブラギは、命を賭けて戦っても世界は変わらないとナツメに出撃しないよう諭すんだけど、ナツメが考え抜いて出した戦う理由は「世界を変えたかったんじゃなくて、自分を変えたかった」。

ありきたりと言えばありきたりな理由だけど、自分の生き方は自分で決めたいというナツメのキャラクター性、ひいてはこの作品のテーマとも言えるエッセンスがこのセリフに込められている。

そしてこの理由で動くナツメを、カブラギのロジックでは止められないというのが面白い。

後半はカブラギや他のサイボーグ(特にジル)に物語の重点が置かれて、ナツメは若干フェードアウトした感が残念だったので、個人的に本作で好みだったのはこの中盤のエピソードかな。前半のガドルとの戦闘シーンも見どころ。

 

 

『天晴爛漫!』第7話「FAKE」

第七話 FAKE

第七話 FAKE

  • 発売日: 2020/08/15
  • メディア: Prime Video
 

ロジカルな天才キャラが実は内に熱いハートを秘めてるっていいよね、というお話。

ライバルを蹴落とせば有利になる大陸横断レースで、他の参加者を助けるためにエンスト覚悟で秘密兵器を使った自分自身の合理的じゃない行動を「俺はバカになったのか?」とうまく言語化できない天晴が観ていてもどかしいし、そんな天晴に小雨が年長者として語りかける星空のシーンが印象的。

それ以外にも狩りや料理はてんでダメなのに頑張ろうとする天晴が可愛らしかったり、終盤でバッド兄弟に立ち向かうホトト役・悠木碧さんの演技が素晴らしかったりと見どころの多い回。

1クールのオリジナルアニメという短い尺ながら、それぞれのキャラクターの魅力がしっかり出ており、全体的に安定していた作品。

主題の大陸横断レースは拍子抜けなレベルでサラっと終わったけど。

 

 

『A3! SEASON SPRING & SUMMER』第12話「克服のSUMMER!」

www.a3-animation.jp

12月になってから一気見した、イケメン役者育成ゲームを原作としたアニメ。

春~冬組のそれぞれに割り当てられたのは6話というやや短い尺で、あまり深く掘り下げられなかったキャラクターも居たけれど、夏組は「自分の弱さと向き合う」チームだったと思う。過去のトラウマから観客の前で演技することに恐怖を感じる天馬。ゲネプロでの失敗を取り返そうとするも、台詞が飛んでしまうんだけど、そんな時にアドリブで助けてくれたのは頼りなげだった椋。「弱さ」をお互いが支え合うの夏組の姿が眩しい。

そこからは「ドラマや映画とは違う、その一瞬の演技」を夏組全員で楽しんでて、このアニメが普通の俳優ではなく「舞台役者」を題材にした強みが出ているなと。

最後に幸がアドリブで感謝を伝えるシーンでは、観ている僕も「夏組、ありがとう…。」となってしまった。

最初本当にバラバラで「こいつら大丈夫なんか…」という感じだった分、5人が人間的成長を果たし、本当の仲間になったことへの満足度が高いエピソード。

ちょうどこの辺を観てた時期に一成の声優が社会的にお亡くなりになってしまいました。

 

ポケットモンスター』第37話「ただいま、はじめましてアローラ!」

 

アローラ時代のライバル・カキに「サトシの近くにいるならサトシの夢を手助けしなければならない」とバトルを挑まれたゴウは「そもそもライバルじゃないし、夢は自分の力で掴むものだ」と返す。

そもそもゴウの夢は「すべてのポケモンをゲットする」ことで、積極的にバトルしようとする人物ではないけれど、それでも全力でバトルに臨むのは「仲間で友達のサトシの前で、恥ずかしいバトルをしたくない」から。

追いかける夢は違うけれど、仲間として、友達としてサトシをリスペクトしているからこそ、隣に並べる人間でありたいと宣言するゴウが輝いていたエピソード。

各地方での冒険の経験からかサトシに達観した風格がある分、成長要素がゴウに割り振られていて、このキャラクターの変化を見るのが本当に楽しい。

この37話以外にもゴウに見せ場があった36話、40話やサトシとサイトウの再戦回である39話あたり本当に悩みましたが、ゴウがサトシとどういう関係でありたいか明言したという点でこのエピソードを。この辺名エピソード集中しすぎでしょ。

 

惜しむらくは『サン・ムーン』未見で僕自身が「はじめましてアローラ!」だったのでアローラ組とのナラティブを吸収しきれなかったことでしょうか。

2021年には全話観ようと思います。

 

『GREAT PRETENDER』14話「Case 3_4: Snow of London」

www.greatpretender.jp

古沢良太が全話脚本を務めた信用詐欺師が主人公の作品でこのタイトル…ってもうコンフィデンスマンJPじゃん。リーガル・ハイしか観たことないけど。

Case3は主人公と一緒に詐欺を行うチームの1人・シンシアが実質メイン。

昔の恋人・トーマスを贋作作家として登用し、人生を狂わせた画商コールマンとの因縁の対決が描かれるのですが、そのクライマックスである本エピソードは画家志望だったトーマスと語り合った夢と、コールマンに仕掛けるオークション詐欺を重ねたストーリー展開が見事でした。基本騙され、巻き込まれがちな主人公のエダマメが珍しく粋な意趣返しをするのも良かった。

 

『体操ザムライ』第5話「合戦ザムライ」

taiso-samurai.com

無双する南野を意識しすぎるあまり、周りの選手は調子を崩して、ミスが増えていく。その中で城太郎は自分の演技に集中し丁寧な演技で6位入賞。事前にコーチと挙げていた課題もクリアし、今後に向け確かな手応えをつかむ。

実は、このエピソードで城太郎の演技は全く描写されていないんですよね。

周りの選手どころか視聴者も南野にクギ付けになっている傍らで城太郎はもっと先を見て黙々と自分と向き合っている、という構成が上手いな、と感じました。

この作品も全体的に完成度が高く「親子ザムライ」や「特訓ザムライ」といった玲に絡んだエモーショナルなエピソードとも迷ったんですけど、1話から観ていて最初に惹かれたのは、城太郎が独り善がりなオーバーワークを改め、周りの力を借りながら「地に足の着いた努力」を始めたところなので、その延長線にある本エピソードは地味ながらもこの作品「らしさ」が出ていると感じ選出。

 

『アクダマドライブ』第6話「BROTHER」

akudama-drive.com

ブレードランナー』を思わせるようなサイバーパンク風の世界観で繰り広げられる破天荒なクライムアクション作品。毎週クオリティが高くて楽しく観ていたのですが、作中での東西格差の強調が凄すぎて関西の人が怒らないか心配になる。

この作品におけるアクダマは「自分の生き様のために命を賭けられる人間」であり、『アクダマドライブ』という作品は彼らの生き様に触れた「一般人」が「詐欺師」になるまでを描いた物語だと理解しているのですが、その「生き様の為に命を賭ける」というポイントが最も分かりやすかったのが本エピソードで描かれている喧嘩屋かな、と思ったので本エピソードを選出。単純に作画が凄すぎたというのもあるけど。

処刑課師匠との矜持と覚悟のぶつかり合いは凄まじい出来だった。

 

総括

話数単位、を意識して10本選んでみましたが、普通に好きな作品の好きなエピソードに偏ってしまった印象がある。連続アニメ作品という媒体で特定の1話を評価するとき、その作品全体の中でどういう立ち位置なのか、を意識して観ているというのがあるんじゃないかなと思いました。

特に「今まで描かれてきたキャラクターの魅力や変化が顕著に出る」回は好きになりやすいのかな、と。

そう考えると、エモーショナルではあるけれど作品全体を通して他の話とあまりにも毛色が違うエピソード、みたいなのはあまり良い印象に残らないのかもしれない。

それとやっぱり毎週安定して面白い日常系作品は好きな作品でも1エピソード挙げづらいな、というのが正直なところです。具体的に言うと『放課後ていぼう日誌』。

 

10個挙げて言語化する、というのはなかなか大変でしたが、この記事を書くために挙げたエピソードはほぼ全部観直すこともできたし、楽しい活動ではありました。

ただこういうのをやってって言うならもっと早く言ってほしかったです。

 

おしまい。