その分現金でくださいよ。

他人の好意を台無しにするブログ

ストレイト・ストーリー

 

ストレイト・ストーリー [DVD]

ストレイト・ストーリー [DVD]

  • 発売日: 2004/01/21
  • メディア: DVD
 

アメリカ・アイオワ州に住む73歳のアルヴィン・ストレイトは、娘のローズと二人暮らし。ある日、10年来仲違いしていた76歳の兄ライルが心臓発作で倒れたという電話が入り、アルヴィンは兄に会いに行くことを決意する。ライルが住むウィスコンシン州までは560キロ。車で行けば1日の距離だが、何とアルヴィンは時速8キロのトラクターで旅に出た。

これ本当にデビッド・リンチが監督した作品なのか?と思わせるようなストーリーで、形容しがたい顔貌をした赤ん坊が出てきたり途中から今までのは全部幻覚でした…とか言われないか心配しながら観ていましたが、杞憂でした。

頑固な爺さんが後ろに寝床をつけただけの芝刈り機で、5週間以上かけた旅をして、その先々で出会った人々と家族や老いについて語っていく。「車で送っていこうか?」って言われても普通に断る頑固レベル。これが実話ベースってのもすごい話だ。

説教くさくなってしまいそうなストーリーだけど、不思議とそういう感じは受けなかった。主役のアルヴィンが家族との関係で失敗している人間で、基本的に後悔からくる発言だからより一層響くのかもしれない。10年間音信不通だった兄が倒れたと聞いて「死」という人生のピリオドを意識したアルヴィンが思ったのが「昔のように一緒に星を見たい」だったというそれだけで文字通りストレートに胸に来る作品でした。

兄に再会するラストシーン、ライルが「あれに乗って会いに来たのか」とアルヴィンに問いかけるのですが、一瞬の言葉遣いや表情から、結局ライルもアルヴィンと同じ気持ちだったんだな、と彼の積年の想いが伝わってきた。ライルの俳優すごいな、と思いながらエンドロールに移って、ハリー・ディーン・スタントンってどこかで聞いたことあるな…と思ったら去年観た『ラッキー』の主演俳優でしたね。

 

ラッキーとアルヴィン、頑固ながらも愛嬌のある爺さんでなんとなく似てる気がするんだよな。